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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第三章 四天王編

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第56話 他校生から呼び出される夜白

 朝日も変装スタイルだった。

 伊達めがね、みんな持っているものなのか?

 

 俺の隣に座った朝日に、楓がグルチャではなく個人チャットで大量に送り始めた。

 テーブルに置きながら打ち込まれたら、逆サイドに座ってても中身が見える。

 これは、目をそらすのがマナーか?

 

「どっち向いてんだ、夜白ォ。この事態に!」

 

 楓に何故か凄まれた。

 見たほうがよかったのか……。

 

「え、じゃあ別に貰っちゃえばよくない?」

 

「そんなあっさり……」

 

「だよなあ?」

 

「夜白は黙ってろ」

 

 楓を怒らせるようなことはしていないけど、今後も気を付けよう。

 目つきが怖い。

 

 楓からのチャットに、朝日は返信せず直答スタイルでしゃべっている。

 まあ、主語に魔王のドロップ品アイテムとか言っていなかったら、特にバレないもんな。

 

「だって、登録されちゃったんなら、仕方ないし。ボクも使ってるしね」

 

 店員さんを呼んで、ホットの黒糖オレを頼んだ朝日は真顔になった。

 

「ボクだって、ほいほい人から簡単に貰わないよ? なんか返さないといけないな、とかなんでくれたんだろう? みたいな疑問がでちゃうし。でも、ヤシロなんだもん……ね、なんでくれたの? ヤシロ」

 

「え……みんなで最強計画立ててたから?」

 

「は?」

 

 怒り顔と困り顔のミックスになった楓と、腹を抱えて笑う朝日に、俺が理想としていた計画を話す。

 ますます、形容しがたい顔になる楓は頭を抱えてしまった。そんな変な話だったか?

 

「ね? ヤシロはヤシロ的に意味わからない下心があって。でもそれって『感謝されたい』とか『いいことしてやった』みたいな押し付けな理由とちょっと違うんだよ。一方的なんだけど、これってボクらにはとても身になることじゃん? 一緒に強くなろうよって、あったかいメッセージだと思う。孤立するヤシロは見たくないし、いっそ皆でこの計画に乗ればいいんだよ」

 

「でも、和成やマヒルさんは……? 残る敵がそう都合よくドロップさせるとは分からないだろ」

 

 そういわれればそうだな。

 でも、俺の轟滅黒剣(ごうめつこっけん)も魔王シリーズじゃないし。

 

 すぐには無理でも、S級ダンジョンに自由に潜れるようになったら、探しにいくし。

 また、古代魔法を放ってみてもいい。

 

『また魔王が増えたらどうするつもりですか……』

 

 その時はまた倒せばいいさ。

 みんなも、いいレベリングになるだろう。

 

「大丈夫だ、俺がなんとかするから」

 

「ほら、ヤシロにかかればこの通り。しかも実力が確かすぎるんだぁ~」

 

 楓が大きなため息をつく。

 

「諦めた……この武器、大事に使わせてもらう……ありがとう」 

 

 いや、なんかいろいろもやもやさせて悪かったな。

 皆で最強計画は、もっと早く打ち明けるべきだったかもしれん。

 

『……反省とは』

 

 なんだザガン、独り言か。

 

「ヤシロ、スマホ鳴ってるよ」

 

「オレにも和成からやたらチャットの未読が……」 

 

 朝日がホットの黒糖オレに苦戦している間に、俺はスマホを開いた。

 妹のきらりからの着信が、気が付かない間に三件入っている。

 

「もしもし?」

 

「あ、お兄ちゃん? 出先にごめんね。あのね、お兄ちゃんの動画にしつこくコメントを書いてる人がいて。でね、その人京都の玄武高の二年生で、S級ジョブの槍聖の谷之やの 光太郎こうたろう っていうハンター科の人なの。都内のC級ダンジョンで待ってるって書き込んでて……」

 

 ほう、玄武高の二年生……先輩らしいが、動画にそんなコメントされてもな。

 

「逃げるなよ、って。こなかったら逃げたとみなすって大量に書いてて」

 

 よく垢バンされないな。

 あ、ハンター科の人間は犯罪レベルじゃないとDCAが動かないんだっけ。

 こんな荒らしみたいなことしたら、バンされろよ……。

 

「時間言ってたか?」

 

「もう過ぎてるの。それで勝利宣言してて、お兄ちゃんのファンがネットで怒ってる」

 

 えーー。めんどくさいなぁ。

 べつにそれで勝ちなら、勝手に勝っててくれ。

 

「ネットでトレンド入ってるし、一応知らせたほうがいいと思って。今日C級ダンジョン行くって言ってたから、てっきりこの人と会うのかなと思ってたら、なんか違ったみたいだから……余計なことだったらごめんね?」

 

「ちなみにきらりはどう思った?」

 

 うーん、と一拍置いてからきらりは小声を出した。

 

「お兄ちゃんのファンのメイン層は、こんなの会わなくても余裕でお兄ちゃんの勝ちだし、こんな絡まれ方ムシするほうが当たり前って言ってるけど……ちょっと悔しい。実際にうちのお兄ちゃんに会えば勝つの当たり前なのにって」

 

「そうか……なら、遅刻してるけど行くってコメント書いておくよ。お前の兄貴だからな」 

 

 ダンジョンで何が勝負だって感じだけど、障害物競走でもハンマー投げでも負けはしない。

 別に言われっぱなしはどうでもいいが、妹の期待には答えないとな。

 

「行くの? ちょっと猫舌だけどすぐに飲み終わるから頑張るね」

 

「相手にするまでもないとは思うけどな。だがファンも怒ってるそうだし。なにより新作武器も試したいしな」

 

 和成の要件も、同じ内容だったらしい。俺にメッセージを送っても反応がないので、一緒にいる楓に大量に送ったようだ。

 朝日が急いで黒糖オレを飲み干すのを待って、俺は荒らしにレスを書いた。

 

 あとで、自分の発言もまとめて削除しないとな……ああ、なんて面倒な。

 俺が三人分の会計を買って出て、俺たちは車内に待つ宇賀神ハンターの元に急いだ。

 

 京都校のS級ハンター、相手にしてやるぞ。

 名前は……えーと……やの……こうた?

 

『谷之光太郎です、我が王。くれぐれも本人にやらないでください』

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― 新着の感想 ―
無謀にもヤシロに戦いを挑んでくる奴がいるんだ。びっくり!
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