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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第三章 四天王編

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第49話 人を救う夜白

「ここ……が、三十層?」

 

 マヒルが絶句した。

 目の前に広がる魔物はキマイラだらけ。どう見てもA級ダンジョンとS級ダンジョンに出る魔物だ。

 

「たす……て」

 

 どこかで微かな声がする。

 マヒルはすぐに結界を展開し、朝日がシールドを構える。

 

「ボルカニックシールド!」

 

 アグニラの盾から、獄炎が飛び出し周囲のキマイラを焼き上げる。

 

「たす……」

 

 俺は聴力に魔力を集める。

 やや手前のほうから、微力な魔力を探知した。

 

 目を凝らすとタンクと剣士が、大けがをしながら必死にキマイラの山の中であがくのを見つける。

 よく助かったな……とはいえ、すぐに助けないと死んでしまう。

 

「フロストスパイク!」

 

 マヒルが地面からつららを生やして、キマイラを串刺しにした。

 

「楓、朝日の盾の後ろから攻撃をいれてくれ! 和成、今から俺がけが人を運んでくる。すぐに回復してくれ」

 

「わ、わかった」

 

 マヒルや朝日のほうが修羅場慣れしていて、すぐ攻撃に徹しているが楓と和成はさすがに固まっている。

 俺が声をかけると、瞬きしながら二人は頷いた。

 

「ツインスラッシュ!」

 

 楓は両刀を構えて、間近のキマイラに攻撃を繰り出す。

 

 それを見届けながら、俺は大量のキマイラの頭を踏んずけながら埋もれそうな剣士とタンクを目指した。

 今や、剣士を剣を取り落としタンクも血まみれで立っているのがやっとの様子だ。

 

「今、助けます!」

 

 俺の声に、二人の眼に希望が灯った。

 氷刃嵐舞で足場を固め、二人を中心に三百六十度、轟滅黒剣(ごうめつこっけん)を振り回すと、周囲のキマイラがなぎ切れて血煙が立つ。

 

「俺に捕まってください!」

 

 ぼろぼろの二人をなんとか立たせたが、おぼつかない足元に俺はそれぞれを米俵のように担ぎ上げた。

 行きと同じく、キマイラを足場に三十層の入り口に戻る。

 とどめは決められないまでも、結構な数が重症化していた。

 

「よくやった」

 

 和成にけが人二人を預けて、ハイポーションも渡しておく。

 ヒールがどこまで治せるかわからないが、予備はあったほうがいい。

 

 だが、E級ダンジョンの三十層でキマイラがいるわけがないし、何よりザガンがいない。

 これは……なんらかの策略だろう。

 キマイラをこれだけ生み出せるってことは、第二の魔王か?

 

 魔王らしき存在は見えないが、キマイラは倒しても倒しても減らない。

 召喚する系の魔王かもしれない。


〇やっばい……どうなってんの?

〇E級ダンジョンって言ってたはずなのに、A級ダンジョンにいる?

〇A級ダンジョンでもかなり深層だろ……

〇どうなってんの?やばくない?

〇ダンジョン事故じゃない!?いきなり難易度がおかしくなるやつ

〇一年生に許可でるわけない、DCAに連絡しました


 あ?? ああー配信切ってなかった。

 俺のもだし、他のみんなのも動いている。

 まずったぞ……でも今は増殖するキマイラに数で圧倒される。


〇でも夜白くん凄い!勝ってる!

〇やはり神か……

〇凄い剣聖してるじゃん!これなら勝てるんじゃね?

〇夜白ニキ、頑張って!

〇同接500万人超えたー!


 消すタイミングが分からないが、他のみんなは気が付いていないみたいだ。

 俺は大技を控え、速度重視でキマイラをぶった切っていく。みんながダメージを与えたものから、優先的に。

 

 そうすれば、皆が自動的にレベルがあがりつつ攻撃が通り安くなるからな。

 惜しいのは、キマイラの肉や魔石が拾えないことだな……。ザガン……。

 

 ザガンが居ればな……。

 

 かといって俺が拾う暇はない。休みなくキマイラを切り続けて、ちらっと皆を見る。

 和成は回復魔法を全てかけ終えていて、ハンターの名前を聞いていた。

 

 マヒルは魔力ポーションを飲みながら、結界を維持して攻撃魔法も続けている。

 朝日はアグニラの盾で攻撃と防御を兼ね、その後ろから楓が両手剣でダメージを入れている。

 

 確実に、入ってすぐよりは攻撃が聞いているようだ。

 それでも、俺が戻って結界を上から張ったほうが安全だ。ザガンがいない今、俺は一人でカバーしなければいけない。

 

『呼びましたな、我が王よ』 

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― 新着の感想 ―
みんなのレベルが上がっているようだけど、倒しても倒しても減らないキマイラは何か理由があるのかな?
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