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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第三章 四天王編

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第48話 E級ダンジョンのトラップ

 秘密がないというのは気軽だな。

 心なしか足取りも軽く、バスから降りた。

 

 朝日はアグニラの大盾を装備できている。轟滅黒剣(ごうめつこっけん)みたいに重たい設定がなくて良かった。

 私服から学校の実技服に、全員着替えている。

 一応、実技服も微々たる防御力が入っているからな。

 

「入場手続きはしているから、どんどん行っていいぞー」

 

 宇賀神ハンターが、ダンジョン受付と握手をしているのを見ながら、俺たちは奥に進んだ。

 配信ドローンはもうあげているが、戦闘がないので雑談書き込みが多い。

 

 プロハンターのグループとすれ違うが、このダンジョンの幅は狭い。

 魔肉なんかは高くて上位のハンターの食べるものになっているが、このE級ダンジョンにいるってことは素材探しかレベル上げだろう。

 

 朱雀高だけじゃなく、北海道の青龍高校。京都の玄武高、長崎の白虎高。ハンターの学校は全国四校だけど、全員が全員A級ダンジョンやS級ダンジョンにいけるわけじゃないからな。

 学校以外でも魔石を必要としている人はいるし、どのランクのダンジョンも人は多い。

 

「一気に下まで進むか?」

 

 楓が一番後ろから声をかけてくる。

 その楓目掛けて、後ろのパーティーからの流れ矢が迫った。

 

「そうしよう。ここは人が多すぎる」

 

 俺が一足飛びに後方へ飛んで、その矢を手刀で叩き落す。

 まったく、迷惑だな。

 命中率が低いにしても、声ぐらいかけてくれればいいのに。

 

「……すまん、気が付かなかった」

 

「いや、ただ叩き落しただけだから」

 

 背後のパーティーから「すみませぇ~ん」と女性の声が聞こえてきたが、かまわず進むことにした。

 奥は奥で混んでいそうだが、少しは奥行きがあるはずだ。

 

 宇賀神ハンターの声が聞こえてこないが、あちこちのパーティーに捕まってまた握手やサインをねだられてるんだろうな……。

 

「私、結界張ったほうがいい?」

 

 さっきの流れ矢が気になったのかマヒルが杖を構えたが、俺は止めた。

 

「魔力ポーション飲むにしても、あまり疲れないでいくほうがいい。ポーションはもちろん用意してきたが」

 

「ちょっとー、その前にヒーラーの僕がいるんだけど~」

 

 おどけた風に和成が大げさに拗ねてみせて、皆が笑う。

 俺が準備してきたのは、アグニラ戦の大空ハンターを見習った結果だ。

 

 収納しておけばいいし、いつでも使える。

 ちなみに買ってきたのはザガンだ。人間に扮してDCAで購入してきてもらった。S級ダンジョンで売った魔石たちのお金があるので、資金はまだまだ潤沢だ。

 

 それにしても、バランスのいいパーティーだよな。

 近距離攻撃二人、タンク一人、遠距離一人、回復役一人。たまたまとはいえベストバランスだ。

 俺を先頭に、雑魚は切り捨てながら走ることにした。せめて十層の魔法陣まで行きたい。

 

「でも、魔法陣てうっかり初心者が踏んだら危険じゃないか?」

 

「夜白くん、魔力量が足りてないと魔法陣は作動しないんだよ?」

 

「うちはパーティーに夜白がいるだけで、全国の移動魔法陣は使い放題なわけだな」

 

 マヒルにくぎをさされ、楓に笑い話にされたが、俺はちょっとショックだった。

 俺が大賢者の時代、そんなセーフティな配慮がない魔法陣を作っていたのだ。

 そうかぁ、もう少し考えて作ればよかったな、前世のこととはいえ。

 

「あった、魔法陣!」

 

 十層、二十層、三十層と魔法陣が並んでいるタイプだ。

 

「どうする?」

 

 朝日に聞かれて、俺は首を傾げた。

 

「どうするとは?」

 

「一気に三十層いく?」

 

「行けるだろう」

 

 F級ダンジョンの最下層でも、マヒルや朝日は今のレベルなら何とかなる。

 ましてE級ダンジョンの三十層なら、大丈夫だろう。

 

 楓と和成のレベル上げにはちょうどいいはずだ。

 どう思う? ザガン。

 ……ザガン?

 

 そういえば、ダンジョンに入る前までは俺と話していたザガンがいない。

 つながりは感じるが、気配がやたら遠い。

 何か買いにいったのか?

 

「じゃー行こう三十層!」

 

「行こう行こう、レベリング!」

 

 朝日や和成はもう魔法陣に足を乗せている。

 慌てて俺も足を乗せたが、そういえば宇賀神ハンターの声もE級ダンジョンに入ってから一度も聞いていない。

 ザガンの存在感が薄いことと、追ってこない宇賀神ハンター。

 

 どこか気になるが、魔法陣は発動してしまった。   

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― 新着の感想 ―
宇賀神ハンターとはぐれたのは、後で怒られるぐらいだろうけど、ザガンがいないのは強烈不安でしかない
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