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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第三章 四天王編

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第32話 守りを覚えた夜白

 エンペラーオークとはいえ、動きは遅い。

 

「待って、夜白くん! 飛びだしては――」

 

 紫電烈閃――!

 轟滅黒剣(ごうめつこっけん)が、エンペラーオークの体を切り裂く。

 

 紫の雷は、剣先に集まってまばゆく光る。

 一体、二体と倒していくと、魔物の血があたりに迸った。

 

『我が王、ドロップ品を拾いますか?』

 

 待て待て、今は人前が――。

 

「何をやっているんだ! タンクを置いて飛び出すとは……何を考えているんだ、君は!」

 

「あ、すいません。つい」

 

 いつもの癖で、と言いかけて、慌てて黙る。

 そうか、朝日やマヒルと戦うときの、ああいう感じでいけってことかな?

 大空ハンターが怒鳴りながら前に来てくれたが、ちょっと邪魔だ。朝日ならともかく、この人大きすぎて視界が悪くなる。

 

『我が王、残りのハンターたちが危ないですぞ!』

 

 そうか、エンペラーオークたちが恐れていたのは俺だから、俺が離れたらあっちに襲い掛かるのか。

 ザガンがいて助かったな。俺の見えない視野を助けてくれる。

 

 桜井ハンターが必死に壁となっていて、高坂ハンターが高熱の魔法を使っていた。それでも、一体倒すのにすごく時間がかかっている。

 あっちをメイン軸にして、左右の敵を減らせばいいのか。

 

 俺に押し寄せたエンペラーオークを足場にして、そこから桜井ハンターの前に飛ぶ。

 右に左に、興奮したエンペラーオークの胴体を貫いて、俺は返り血を避ける。

 

「……信じられない」

 

「夢を見ているようだ――」

 

 エンペラーオークの群れは悪夢かもしれない。

 俺としては、魔石や肉があとで回収できるかが気がかりだ。ザガンには魔石をあげる約束したからな。

 

「夜白くん、君は一体……?」

 

「レベル2の剣聖ですよ」

 

 大空ハンターが、桜井ハンターの逆を担当しているが、大丈夫だ。ここまで近づける予定はない。

 

「こうなったら桜井ハンターの魔法が使える説も信じそうだな」

 

 どうなったら? 俺は今すごく剣聖らしいことをしているのに、何かおかしかったかな。

 

『我が王、エンペラーオークを倒せるものは限られておりますぞ!』

 

 いや、高坂ハンターだって時間かければもっと倒せるはずだぞ。

 

『普通は、火力の高い人間が束になるのですが……』

 

 はいはい、悪魔の語る人間なんてあまりリアリティがないぞ。

 轟滅黒剣(ごうめつこっけん)で氷刃嵐舞を撃つと、エンペラーオークの動きが鈍くなる。

 

 ところどころが凍り付いた体は、狙いたい放題だ。

 首を跳ね上げ、胴体を裂き、俺は血を避けて飛び回る。

 

『ハンターたちの周囲はだいぶ開けましたな』

 

 そうだな、ザガン。やっぱり見えないままドロップ品を回収しておいてくれ。何故かみんな自失しているからな。

 

『それは我が王のせいでは……』

 

 俺は普通に戦ってるだけだ。剣聖として。

 轟滅黒剣(ごうめつこっけん)のスキルに助けられてるな。

 不動剣も使ってみたけど、少しスピードがあがるだけだった。

 

「夜白くん! どこまでいくんだ!?」

 

 大空ハンターが大声を出す。

 皆さんは、じりじりと逆サイドの魔法陣に移動している。あっちが一層に戻る魔法陣か。

 

「勿論、全部倒します」

 

 何せ、俺のせいだからね……。

 十層だけSランク難易度だと、今後このA級ダンジョンに人がこなくなってしまう。

 さすがに責任とれないし、人が狩りにこないと魔物氾濫(スタンピード)が起きてしまうからな。

 

「なんてこった……我々は、一体倒せるかどうかを見るだけのつもりだったのに……」

 

 え? 一体倒せば良かったの? 初耳すぎる。

 

『我が王、よそ見は危険ですぞ』

 

 エンペラーオークの中に再び突入する俺に、ザガンが突っ込む。

 分かってるよ、ちょっと初耳な事案を聞いてびっくりしただけだ。つまり、俺、すでにやりすぎ――ってこと?

 

『我が王は大体が、やりすぎでしょうに』

 

 そうかー、これがやりすぎか……。今度から何体なのか、聞いておこうっと。

 でも、今更へこへこ戻ってきても、いや片付けろよってなるよなぁ。

 

「紅蓮一閃!」

 

 俺がスキルを発動させるのに合わせて、ザガンが近距離のエンペラーオークの足を吹き飛ばす。

 ともかく、ハンターたちのほうになだれ込ませないように気を付けないと。

 

 とどめをさしに走りながら、俺とザガンは十層のエンペラーオークを徹底的に狩りに行ったのだった。

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― 新着の感想 ―
つよ~い!他のハンターが現実を受け止められないでいるぅ
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