第23話 最下層でランチする夜白
ザガンには十層で、暴走する魔物の群れがそれ以上、上がらないように指示した。
いくら魔物氾濫といえど、しょせんはFランク。ザガンも余裕だろう。
『キリがないので、早めにボスを倒していただけると……!』
なんだよザガン。俺の魔力に接続されてるんだから、魔法打ち放題だろ。弱音はやめろ。
「すごい……こんな数のゴーレムに囲まれて無事だなんて」
「マヒル、見てないで攻撃打ち込んで!」
「う、うん!頑張るね、朝日ちゃん」
朝日たちのほうがよっぽど前向きだぞ。
二人が懸命に近くのゴーレムを攻撃しているので、活躍しやすいように結界を少しずつ広げた。何体かは、それで圧死したようだが問題ない。
謎なのは、どう見てもゴーレムキングがこのダンジョンの主なんだが、それより離れたところに真っ黒い巨大なゴーレムが居る。
何メートルあるんだ? ドラゴンよりは小さいが。
鑑定によると、ゴーレムの亜種と出た。しかしステータスはダンジョンボスより高い。……こいつが魔物氾濫の原因か?
ダンジョンボスは、倒しても問題ない。数日から数週間で復活する。ダンジョンコアさえ壊さなきゃ、何度でも利用可能だ。
とりあえず、ゴーレムにも効き目が強い氷系の魔法をぶっぱなす。凍ったところを、新技の魔力レーザーで破壊していたんだが、凍らせただけですでに壊れているようだ。
『我が王の力が、ここの魔物には強すぎるのでありますよ!』
ザガンにしゃべる余裕があるなら、まだ少し雑魚狩りしておこう。
マヒルと朝日は恐怖を乗り越えて、だんだんと真剣に攻撃に専念している。
ある意味、普段の授業でこんな狩場に出会えないからな。
だがゴーレム亜種は気が短いのか、苛立ってこちらに向かってくる。
「マヒル、あの黒いやつに集中攻撃! 朝日は手前のゴーレムを手あたり次第!」
「「了解!」」
俺は手前のゴーレムを魔力レーザーで仕留める。ゴーレム亜種はもっと近づいてきてからでいいだろう。
だが、先にマヒルが膝をついた。魔力切れか。
アサヒもだいぶフラフラだな。そうか、あれの出番だな。
「飯休憩しよう」
「休憩……?」
「めしって……」
『ナンテイイマシタカ、ワガオウ』
おっザガンも元気そうだな。
あの時A級ダンジョンでたくさん狩った、魔物肉は焼いてある。
惜しむらくは、たくさん焼いてタッパーに詰めていたことだな。おしゃれな皿とか買って盛り付けておけばよかった。
収納魔法から肉の入ったタッパーと、割りばしを出す俺を無言で注視する二人。
「わかってはいるんだけど……やっぱりすごい夜白くん」
「収納系の魔法は伝説級だもんね……」
「マヒルだって賢者なんだから、育成の幅によっちゃ出来るはずだけど」
すいっと目線をそらされた。何故だ。
俺は防御をあげるために、俺は朝日と同じガーゴイルの肉にする。何しろ硬めの肉で、二晩つけ置きしたんだよな。
「魔物肉だけど、食えば魔力に変わるから食べてみて」
「う……うん」
「この環境で……いただきますすることが気が引けるんだけど」
大丈夫、亜種ゴーレムは結界にイラついてるだけで壊せないから。
遠距離のやつらは、ライトニングレイドで感電死させてるしな。多少俺も頑張らないと、ザガンの負担が増すもんな。
『我が王……』
俺は自分の分を、タッパーの蓋によそう。
一枚ずつが分厚いから、三枚食えるかな。
「食べながら、魔法って打てるんだね……」
「ヤシロの非常識に慣れるかな、ぼくたち……」
そんなに難しいことはしてないぞ。これが剣を使っていたらさすがにできないけど。
……ん、思ったよりうまい。筋肉質だけど。
「魔物肉ってこんな味なんだね」
「高級品だもんね」
魔物にたかられることにしばし麻痺してきた二人も、肉を味わっている。
まあ、俺の結界はこのレベルの魔物に割れるほど柔くはないからな。ゴーレム亜種は、バンバン殴ってるが。
こうして、俺たちはしばしの休息で体力も魔力も回復した。
あとは、ゴーレムキングとゴーレム亜種を倒すだけだな




