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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第一章 元大賢者(SSランク)、剣聖(SSSランク)になる

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第19話 大賢者な夜白

 かつて巨大な駅だったソコは、今はAランク級のダンジョンになっていた。


 ザガンという召喚魔を持って良かったことの一つは、別作業を頼めることだがさらに、ザガンの行ったことある場所にも瞬間移動できることだな。


 ザガンは実体をなくすことが出来る――地脈に乗り、魔力をかぎつけて動く。こうした動きは人間にはなかなかできないので、前世でもそれなりに召喚魔法は使っていた。


 デメリットは多すぎると魔力を食われて俺が枯渇することだ。

 今世は学習して最低限のコスパで行くつもりである。まあ、必要があればその時増やすけど。


「中に監視カメラなんかはないな?」


『あっても、魔物がぶっ壊すと思います。我が王』


 A級ダンジョンの中で、一人しゃべる俺と地面に溶け込むザガン。カメラがあったとしたら独り言を言うやつが映り込んでいるわけだな。

 いわゆるダンジョンはS級、A級、B級という感じでランク分けされている。


 勿論プロは鍛え上げてダンジョンを攻めるわけだが、その時ジョブのランクが高いほうが有利になる。

 現在、確か日本にいるプロSランクジョブは三人だったはず。


 ……つまり、俺とマヒルはそうとうな確率で同学年なんだな。誠志郎がAランクデビューと言ってたのが、そう考えると少しわかった気がする。


『魔物がここでも逃げてゆきますね……我が王の力が強すぎる』


 逃げても、潰すだけだがな。

 S級にいきたかったんだが、テレビと配信でなにやら騒いでいるというので、今回はこっちにした。


 まあ、問題はA級とはいえ少しは人がいることだ。

 準備万端な俺が用意したのはそう――このベネチア風仮面眼鏡である。ただし頭部に飾りなどない真っ黒のやつだ。


 勿論目は見えている。サングラス程度では誤魔化しがきかないので、魔力を持つものが見ると俺の姿がボヤケて見えるシステムに作った。


「いざゆかん、A級ダンジョン!」


『楽しそうですな、我が王』


 いや、ザガンの経験値も俺に入るんだから、おまえも戦えよ?


『我が王を前に敵があまるのですか……?』


 十層はブラッドオーガか。

 固まらずに、俺の周りを囲んで攻撃してくるあたりに知性があるが。


「嵐帝の雷霆槍!」


 フロアの奥まで雷鳴が鳴り響き、肉の焼ける匂いが広がる。

 ダンジョンもあちこち壁にひびが走った。


 生存反応が消える。

 オーガ相手に古代魔法はえげつなかったかな。


 ……ん?生存反応があちこちから。


『我が王、音がすごすぎて人間が集まってきます』


 おっと、やはりやりすぎたようだったな。

 透明化しつつドロップ品を拾うから、ザガンも頼む。


『承知しました、我が王』


 スライムなんかの魔石とは比べ物にならないな。腐ってもブラッドオーガか。

 レアドロップ品の肉と、牙を優先的に拾う。肉は食べる用だ。こういう頑丈な魔物の肉は、食べると防御力をあげてくれる。


「なにごとだ……!」


「わからん、あの凄い音はなんだ??」


 おお、すごい装備のチームがきたぞ。

 あれだけの装備を着込むと、防御が強そうだな。


 ――だが、鑑定によるとこの人の防御は600だ……。 

 

「誰か大魔法でも放ったのか!?」


「一面のブラッドオークもいないが……この壁の焼け目、見たこともない。人間じゃないだろう……」


 人間だよ。

 あんたの足元の肉を回収してるぞ。見えてないだけで。

 ザガンも実に素早く動いているので、目算三百体のブラッドオークの素材を拾い終えた。


「ダンジョン災害対策庁に連絡しよう!」


「じゃあ、俺はこっちから記録をとっていく!」


 なんか思ったより大騒ぎになったな……。早々に次の階層に行くか。

 ザガンに先に下りてもらい、頑丈そうな魔物を探してもらっていた。が、ふと魔力の高そうな魔物も集めることにする。どうやって食べさせたらいいか分らんが、マヒルに食べさせられたらいいな。


『我が王、ケルベロスとガーゴイルを見つけました』


 おっ、いいな。ケルベロスは魔力が高そうだし、ガーゴイルは頑丈だ。

 肉ドロップを増やすなら、雷や火魔法じゃなく氷系か風系の魔法を使うべきだろうな。


 アイシクルランスとストームアローをメインに、俺たちはどんどん深層に潜っていった。

 だが、結果的に十層で大騒ぎしたせいでこのダンジョンにいる人たちがほとんど離脱したのは助かった。


 人目を気にしなくて済むからな。たとえ特殊な眼鏡をしていても。


「あの……!あなたは」


 ん? ザガン何か言ったか?


『それがしではありません、我が王』


 何か聞こえたんだけどな……気のせいのはずは――。


「あなたはどなたですか? こんな高位の魔法使い、国内で見たことがありません!」


 ひ、人がいた――! 魔力感知を怠っていた……。


「お願いです! 私はDCA所属のハンターです! シールドガーディアンなのでこの場に残っていますが、あなたのお名前を――」


 俺は、これまた重装備の女性が何か言っているかより、その背後が気になった。

 配信のドローンが動いている。


 俺のこのベネチア風マスク眼鏡は、魔力阻害をするが機械には通用しないのだ。

 助けを求めていたらすまないが、ここは逃げるに限る。

 ザガン! 姿を出していいから、この人を一層まで送ってくれ!


『はっ、承知。ドローンは壊しますか?』


 壊したほうがいいんだろうなぁ……。でも、ダンジョン災害対策庁の所属と言っていたからなぁ。たくさんの貴重なデータを持ってるだろうしな……俺の姿含めて。

 ザガン、やはり、ドローンは壊さなくていい。きっと貴重なものだろうし、一層に置いておけば十層までの合流で時間かかるだろうからな。


『お優しいのですね、我が王』


 女性だからだけじゃないぞ、男性でもそうしたからな。

 シールドガーディアンってことは、シールドを使える究極の盾職。朝日のジョブの最高位バーションだ。


 動きが遅いのと、それでも単独で置いて行っても安心なほどの実力と防御があるんだろうな。先に行った仲間を待っていたならば、回避して守れる実力者なんだろう。

 とんだハプニングにあいながらも、俺たちは欲しいものを手に入れた。


 ドローンの中身を心配しつつも、おおむね満足のドロップ品たち。


 そして、俺のレベルがようやく2になったのだった。

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