第十五話 育成をする夜白
大幅に他のチームを引き離して奥へ進む。どうせここはスライムしか出ない。
当たっても痛いことないし、どうやってレベルがあがるというのか。
「俺がずっと倒しててもいいけど、朝日と誠志郎もレベルあげないとだろ? 遠距離のは俺が倒すから近くのやつをとりあえず殴ればいいんじゃないか?」
「あ、ええ……そうですね」
「うん……でもぼくは攻撃力低いからな」
ん? 朝日はボクっ子なのか。あまり身近にいなかったタイプだな。
「大盾なら、重さで押しつぶせないか?」
「でも、けっこう動きが速いから」
誠志郎がこわごわと近くのスライムを木剣で殴りにいく。朝日も大盾を振り下ろすが、スライムはその間にぼよんと跳ねてずれた。
「ていうか、朝日は配信いいのか?」
「こんな配信見ても誰も楽しくないよ……ただでさえEランクで登録者いないし」
誠志郎さえ、スライムを相手にポカポカ殴ってる配信あげてるのに?
そうか、スライムが動かなければいいのか。
「いいから配信を開始しろ。俺がヘルプする」
「ホントに……?」
朝日が配信ドローンをあげている間にも俺のコメント欄は動いてるな。
〇お、協力プレイですか。女の子なかなかかわゆ
〇つーかさっきのスライム消したの何?
〇剣がない剣聖なのに、なんかつおい?
〇剣「なんで俺を置いていくんですか」
〇いや、その前にアシスト科泣かせてるから
〇まだ剣ふれない剣聖の配信にこんなに同接あるとは
〇俺らは剣が使えなくてもやしろたんの応援するぜ!
〇別に、スライム瞬殺したって聞いてきただけだから
剣が使えるまで永遠に言われそうだな。時々少しの投げ銭をくれる常連は少数いる。
アダマンタイトを手に入れれば……でも花鈴がその前に使いこなせるだろうか。俺もそんなにうまくないが生成魔法で剣は作れる。
……なんでこんなに剣にこだわらなきゃならんのか。剣聖ジョブ引いてから、苦労が絶えないな。
「朝日、いくぞ」
「う、うん」
俺は靴を片方脱いだ。靴下も脱いで、ポケットにいれるふりして収納にしまう。履いた靴下は自分のといえどもポケットにいれたくはない。
何をする気だとコメント欄が騒ぐ。
俺の役目は、朝日がスライムをたたけるまでの抑え込みだ。だが、片足を勢いよく乗せたらスライム殺してしまうからな。
「よし、叩け」
「あ、足の指~?」
そう、足の指でスライムを抑える。小指がいい感じにスライムを床に固定していた。
朝日が盾を振り下ろして二度、三度と抑えてあるスライムを倒す。
「た、たおせた……」
「一体だけじゃつまらんだろ、次にいくぞ」
靴下なしで靴を踏みつぶしながら、次のターゲットへと俺たちは移動していった。
視界の端で、スライムの攻撃を膝にくらってもだえる誠志郎が見えたが、まさかスライムで死なんだろ。ほっとこう。
〇やばいわ、ちょっと見直した
〇いや、俺はガッカリしたわ。なんかたいしたことないのに俺Tueeee見せつけられてる感じ
〇まあ、剣もってないもんな
〇マジでなんで武器爆発すんのこの子草
〇それはやしろたんが強すぎて武器が耐えられないのである(キリッ
〇厨二信者ww
〇スライムの供養<¥800>
〇このボクっ子が惚れるルートがあったら俺はチャンネルを燃やす
なんかいろいろ言われてる中、俺は朝日とスライムを二十五体ほど倒した。俺は足の指で支えているだけなので、暇なくらいだ。
合間に配信を思い出して、拳の衝撃波でスライムを屠る。これも手加減が大変なだけで、倒した実感など何もない。しいて言えば遠距離のスライムを一直線に倒しているので、魔石拾いがめんどいくらいだ。
俺は悟った。魔法で魔力限界まで魔法を繰り出すことより、力を押さえつけることのほうがかなり辛いと。
前世で魔力コントロールを下手なままだったからな。今世の課題だな。
「あ、ありがとう!ぼくレベルあがった」
「お、そうか」
よかったな、朝日。いや、スライムだけでよくレベルあがったな。
待て、そうすると俺もあがったのか?
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不破夜白
レベル 1
ジョブ 剣聖 S(+SS大賢者)
体力 30+(999999)
魔力 20+(999999)
攻撃力 40+(999999)
防御力 30+(5000)
俊敏性 30+(999999)
スキル (火魔法、水魔法、木魔法、風魔法、雷魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、時空魔法、再生魔法。召喚魔法、古代魔法、創造魔法、付与魔法、加工魔法、結界魔法、身体強化、収納魔法、物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性)不動剣。
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ん?俺はレベル1のままだな。
もしや……レベル、見えないだけで大賢者時代から引き継いでる?
だとすると、前世はレベル950レベルくらいで止まってたから……1+950なわけで、2に上がるための経験値は952に必要なだけの経験値なんじゃ……?
それは……こんな弱い魔物倒してたらいつになるかわからないぞ。
どこかで天裂疾風を一発放って、ストレス解消したいな。




