第十四話 チーム分けされる夜白
なんと、午後の実技はチームで実技だった。
三十三人なので、十一組のグループに分けられ――生徒の好みは無視で――俺は不幸の真っただ中にいた。
大盾使いの女子と、俺、青髪の誠志郎である。これでどう喜べばいいんだ。
女子の名前は覚えてなかったが、鑑定というカンニングで真神朝日と出た。朝日だな。
大盾使いとは羨ましいジョブだ。防御が高くなるに決まっている。誠志郎に関しては言うまでもない。コイツ、メンドクサイ。
「ま、SランクとAランクがペアなんですから、Eランクの真神さんも安心してください」
「……」
朝日は俯いてしまった。大盾も初期装備らしく、重たそうだ。レベル1であれを振り回すのは大変だよな。
というか、誠志郎のほうが問題なんだが?
ネクロマンサーは倒した敵の死骸を操る能力。まだ実践ゼロで、召喚できる魔物ゼロ。いや、これからスライムを倒しても操れるのはスライムだ。
こういうジョブは、他の魔法使いとか前衛に半分以上格上の魔物のライフ削ってもらって倒して、ようやく数とランクで優位にたつはずだ。木剣を持っているけど、大丈夫か?
『我が王よ、王は素手ですが……』
俺はいいんだよ。持っても壊すだけだからな。言っててなんだか悲しいな。
「朝日、俺が前衛で不安をかけるかもしれないが、スライムならゆっくり倒せばいい。大半は俺が受け持つから、気を付けてくれ」
「うん……」
まあ、回復魔法使えるけど、人前では使えないから……。
「ふっふふふふ、武器破壊する剣聖様がよくおっしゃいますね」
誠志郎、おまえ、笑い方気持ちわるいな。
配信でもその笑い方でいくのか? 登録者が減りそうだな。
「まあ、剣聖様も私がいるから心配ないでしょう。安心して頼ってくださいね」
召喚する魔物がいないのに、なにこの自信?
もしや、俺みたいに前世隠しステータスがあるのか?
俺は誠志郎との対話を諦めた。もうぼちぼちと、前のグループが十分置きにスタートしている。
朝日もうなずくばかりで、これはコミュニケーション崩壊チームと呼ぼう。
「さあ出発しましょう!」
言っておいて、おまえ、後列なんかーい!
誠志郎が俺と朝日の後ろに隠れて歩き出す。朝日も、冷めた視線を誠志郎に向けていた。
『我が王、ちょっとそれがしがぶん殴りに行ってもよいですか』
落ち着けザガン、やるときは俺がやるから大丈夫だ。
『我が王がやると、そやつ死んでしまうのでは……』
まあ、力加減ミスったらそうなるな。
過去に野球をして、俺のホームランボールが放課後の小学校を全壊させたときは、参加したやつと校内にいるやつとで記憶消す魔法をかけて、校舎も再生させたっけな。
あれはちょっとめんどくさかった。なるべくなら繰り返したくない黒歴史だな、うん。
「スライムがでましたよ!」
叫ぶな、誠志郎。見えてるわ。
身体強化だけでどこまでいけるか……。
とはいえ、前半にスタートしたチームがまだ前方にたくさんいる。
配信ドローンを動かして、上空を走らせた。
〇わ、ダンジョンの中だ。やしろちゃーん
〇午後の様子はどうですかー剣なし剣聖
〇うわマジだ、剣聖なのに素手ww
〇なんでww大草原
〇剣聖って大体素手だった希ガス
〇なんでや剣聖の剣の字見えんのか
相変わらずうるさいな、コメント欄。それはともかく、まずは拳圧で制す。
身体強化をまとった拳をスライムめがけて繰り出すと、スライムは蒸発し衝撃波が楓のチームにも流れてしまった。
やはり、もっと他の手段をしないと迷惑をかけるな。
「とりあえず、もっと前にいこう」
「え、え、え? 今なにしたの?」
朝日が混乱して話しかけてきた。誠志郎はなぜか呆けている。
「遠くから殴った?」
「なんで疑問形なの、ヤシロ!」
いやあ、他に説明できないし。なんていえばいいんだ? ザガン。
『それがしにも今の攻撃はちょっと……意味がわかりません』
え、なんでだ。確かザガンはハイデーモンだったはず。そんなに等級は低くないはずだぞ?
「まあ、なんかこんな感じで倒していくから、よろしく」
「説明ふわっふわだね」
朝日、しゃべれるじゃないか。俺は不破だが。
『我が王よ……今のはあまりに』
おっさんギャグは滑ると決まってる。ほっとけ。
スライムだった白い魔石を拾うと、俺は一応聞いた。
「この魔石、どっちかいるか?」
「いや、いいよヤシロので」
「ああ、私も、い、異議はない」
なんか、すごくドン引きされてるな。ソフトに倒したんだけどな。
昼休みに大技使ったせいか、まだまだ撃ち足りないな。




