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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第一章 元大賢者(SSランク)、剣聖(SSSランク)になる

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第十三話 人生の初めてを味わう夜白

 アシスト科の教室に訪ねていく途中、俺は刺すような視線を味わった。


 生産者たちからの無言のクレーム。だが、もう二度と破壊しないとはいえん、すまん。

 ざわめきのせいで、花鈴が俺の前に先に出てきてくれた。


「すまん、花鈴。素材を手に入れたらって話したろ。これを渡しておこうと思って」


 バケツに入れたミスリルを渡そうとすると、花鈴から押し殺した悲鳴があがる。

 ……なんだ?


夜白やしろ―! これどうやったの?」


 花鈴はそこであちこちをきょろきょろすると、俺の腕を掴んで歩き始めた。

 なんだなんだ。


 教材置き場に行くと、中でいちゃついていた男女を追い出した。

 そして俺を掴んだまま、教材置き場の中に入り込んでしまった。


 なんか誤解される光景が……。

 人生二周目だが、男女で密室に押し込められた経験は初めてだ。  


「で?? 何がどうやってミスリルを手に入れてるの?」


「えーっと、道で拾った?」


「そんなはずあるか! そもそもバケツで……って、このバケツも普通のバケツじゃないね? 魔力が出てる」


 ダンジョンでミスリルを掘るときに出たくず石を加工したんだが、なんか変だったか?


『我が王~そのバケツはBランク等級ですぞ!』 


 ザガンに遠隔つっこみをされた。え? Bランクなの、この品質。鑑定してから渡せばよかった。


「出所は言えないけど、別に盗んだわけじゃない。ただ、手に入れる手段があったとしか」


「……剣聖の大ファンが送り付けてきたとか? なんにしろ、犯罪に加担してないなら、深くは聞かない。これで私は新しい武器作れる。……あとは夜白が破壊しなきゃいいんだけど」


「多分……保証はできない」


「してよ! そこは!」


 はー、と花鈴がため息をつく。なんか呆れてるな。


「今後、この上のランクのアイテムが取れたら持ってくるけど、武器作れそうか?」


「上ってオリハルコン? レベル1でミスリル扱えるの、S級の錬金術師だから出来るんだけど……夜白には常識がないことは分かった。頑張ってレベルあげて、オリハルコンでも扱えるようにする」


 花鈴の眼鏡が光る。

 これは、ガチだな。


 頑張ってレベルをあげてもらおう。作れば作るだけレベルがあがるわけだから、またミスリルとってこないとな。

 ザガンに頼んで時間があれば、ミスリルも頼めるかな。ザガン、どう?


『オリハルコンは無理ですが、ミスリルならば私でも可能です』


 よかった、それにしても初日から頼みすぎだな。召喚した悪魔を社畜にしないように気を付けよう。


「あ、花鈴。そうだ、すまん。これ、底までミスリルじゃないなんだ。いくつか魔法石も入ってるからどんどん練習で使ってくれ。あとは防具にもテキトーに回していいから」


「魔法石まで!? 付与も鍛えろってことね、やってやるわ」


 花鈴のレベルがあがるのが楽しみだなぁ。生産系は戦闘職より上がりにくいらしいけど。

 花鈴の魔力は30ある。俺がこうして持ち込めれば、花鈴の手助けにもなるな。


「それより、ここに居座るのまずくないか……?さっきか気になってるんだが」


「え? ああそうか。今度から先生にいって個室か空の教室借りるから」


 花鈴はあまり気にしていないようだが、俺は男子だ。

 案の定、教材置き場から出るときには人だかりが起きてしまった。


 花鈴がバケツの上にハンカチを広げていたが、多くの生徒がそれをのぞき込んでいる。

 まあ、気になるよな……。

 俺は上機嫌な花鈴と別れて、自分の教室に戻った。


「どっこいってきたのー、夜白」 


「うーんと、校内の散策?」


「広いんだから、迷子になって授業に遅れるなよ」


 ふふん、安心しろ楓。この昼休み中に移動した場所はマッピング済だ。

 和成はスマホでゲームをしていたらしく、マヒルはイヤフォンをして配信動画をチェックしていた。


「マヒル……ちょっといいか?」


 人目のあるところでは渡したくないな……。そもそも、みんなで座っているのは端の席だ。

 どうするか……結界魔法を張るか? それとも瞬間移動で連れ出して……。


「あ! なるほどねー。楓、連れしょんしよ、今行こう」


「は? 今までお前と連れしょんしたことなんて……そもそも連れしょん自体したことねえのに何言ってんだ」


 イライラしだした楓を、和成がヒーラーとは思えない力で連行して教室を出ていく。

 なんか、盛大に気をつかわれたような。


「どうしたの? 夜白くん」


「プレゼントがあるんだ……出来れば、その今つけてくれると嬉しい」


 何も包装してないミスリルの魔力ネックレスが、今更恥ずかしい。

 ザガンに優先して持ってきてもらえば良かった。


『今すぐ探してきましょうか、我が王』


『いや、いいから』


 マヒルの視線を正面から受け取れずに、目線をそらしたまま魔力ネックレスを差し出す。


「これ、私がもらっていいの……?」


「マヒルにもらってほしくて……作ったんだ」


「作ったの!?」


 マヒルの頬が赤くなる。

 つられてこっちも恥ずかしくなってきた。落ち着け、俺はおっさんのはずだ。


「ありがとう……凄い綺麗! これ、銀じゃない……?」


「あ、素材はあんまり気にするな! 手持ちで作ったやつだから、高価でもなんでもないし」


「そうなの……? それにしてはすごく素敵だけど」


 マヒルはネックレスをつけようとして、なかなかうまくつけられなかったが、それを手伝おうとはなぜか言えなかった。

 マヒルの美人さには、シンプルなネックレスがより際立った。作ったときは物足らないかと思ったけど、全然アリだ。


 前世含めて、女性にプレゼントしたことはない。弟子に物をやったことはあるけど。魔術書と魔法開発に人生かけてたからな。


「すごい似合ってる」


「ありがとう……なんか、急にクラスのみんなの魔力を感知できる気がする。夜白くんのおかげかな」


 にこにことマヒルは笑う。

 よくわからないが、俺は謎の達成感をかみしめていた。

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― 新着の感想 ―
そうか。ヤシロは賢者で魔法の開発をしていて、その前世の力があるからいろいろ出来ちゃう訳だ
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