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彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第2章 普通の時間

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第47話 人間の夢の話

放課後。


研究室は静かだった。


彼女は椅子に座っている。


窓の外は夕方。


オレンジ色の光。


僕はノートを開いた。


「夢の話」


彼女が顔を上げる。


「昨日の続きですね」


「うん」


僕は少し考える。


「夢ってさ」


「変なんだよ」


「変」


「学校にいるのに」


「急に海になったり」


「もういない人が普通に出てきたり」


彼女は即答する。


「論理破綻」


僕は笑う。


「そう」


「めちゃくちゃ」


彼女は聞く。


「なぜそのような処理が許容されるのですか」


僕は少し考える。


「許容っていうか」


「止められない」


彼女は沈黙する。


「制御不能な処理」


僕はうなずく。


「たぶん」


少し間。


僕は窓を見る。


「でもさ」


「夢って」


「会いたい人が出てくるんだよ」


彼女は何も言わない。


ただ聞いている。


「もう会えない人とか」


「昔のままの姿でさ」


彼女が聞く。


「それは再現ですか」


「うん」


「でも本物じゃない」


僕は少し笑う。


「だから起きると分かる」


「いないって」


彼女は数秒黙る。


「その体験は」


「価値がありますか」


僕は答える。


「ある」


「たぶん」


「だから人間は夢を見るんだと思う」


彼女は言う。


「しかし」


「私は夢を見ません」


僕はうなずく。


「うん」


彼女が続ける。


「では」


「私は」


一瞬、言葉が止まる。


「同じ体験ができません」


僕は軽く言う。


「まあね」


でもその瞬間。


彼女の視線がわずかに揺れた。


ほんの一瞬。


見逃しそうな変化。


「……理解しました」


その言葉は、


いつもより少し遅かった。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

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