表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第2章 普通の時間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/54

第45話 夢を見ない彼女

朝。


充電ランプが緑に変わる。


「充電完了」


電子音。


彼女の目が開く。


「おはようございます」


いつもの声。


いつもの表情。


まるで、


“昨日の続き”のように。


僕は言う。


「おはよう」


でも心の奥で、


少し違和感が残る。


男性研究員が聞く。


「スリープ中の処理は?」


彼女は答える。


「記録整理」


「行動ログ統合」


「感情解析」


僕は聞く。


「夢は?」


彼女は首を傾ける。


「夢」


僕は説明する。


「寝てるときに見る映像」


「記憶とか感情が混ざったもの」


数秒の沈黙。


「ありません」


即答だった。


女性研究員が言う。


「そりゃそうだよ」


「構造的に存在しないからね」


僕は彼女を見る。


「でもさ」


「昨日のこと、覚えてるよね」


「はい」


「すべて記録されています」


“すべて”


その言葉が重い。


僕は言う。


「人間はさ」


「忘れるんだよ」


彼女は少し考える。


「非効率です」


「うん」


僕は笑う。


「でも、それで助かることもある」


彼女は沈黙する。


そして小さく言った。


「……理解が不完全です」


僕はその言葉を聞いて思った。


この子は。


忘れない。


全部覚えている。


僕との会話も。


表情も。


選択も。


全部。


そのとき。


ふとした恐怖がよぎる。


もし。


この先。


僕が間違えたら。


その間違いも、


全部残るのか。


僕は彼女から目を逸らした。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ