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彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第2章 普通の時間

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第38話 日常への準備

会議室。


資料が並ぶ。


データは正常。


異常なし。


「稼働に問題はない」


父親が言う。


「予定通り、外に出す」


決定だった。


僕は頷く。


「モニタリングは継続する」


小田切が補足する。


「精神的依存の兆候あり」


空気が少し変わる。


「観察対象だ」


僕は反射的に言った。


「問題ありません」


即答だった。


父親が僕を見る。


「本当にそうか?」


試すような視線。


僕は答える。


「はい」


迷いはなかった。


――嘘ではない。


ただ、見ていないだけだ。


研究室のドアが開く。


彼女がいる。


人間と同じ姿で。


「外出準備、完了しています」


その一言で。


現実が一段階進む。


「帰ろう」


僕が言う。


彼女が聞く。


「帰る場所は」


少しだけ間。


僕は答える。


「僕の家」


それが何を意味するか。


考えないまま。


「了解しました」


外に出る。


風が吹く。


彼女は空を見る。


「光量変化を確認」


「時間帯、夕方」


正確すぎる。


でも。


「きれいだね」


そう言うと。


彼女は少し止まる。


「……きれい」


遅れて、言う。


それでいい。


それで。


十分だった。


歩きながら。


彼女が言う。


「質問があります」


「なに?」


「私は」


ほんの一瞬の間。


「あなたにとって何ですか」


止まる。


思考が。


でも。


すぐに答えた。


「大事な存在」


曖昧な言葉。


でも。


それ以上は言えなかった。


彼女は頷く。


「了解しました」


――定義された。


その瞬間。


関係が、固定された。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

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