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彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第2章 普通の時間

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第35話 目覚めの朝

朝の光が研究室に差し込む。


静かすぎる空間。


機械音すら、今日は遠く感じる。


「最終起動、行くよ」


桜井の声。


僕は頷く。


でも。


視線は、彼女から離れない。


横たわる身体。


完全に、人間と同じ形。


違うのは。


“まだ動いていない”だけ。


「準備完了」


小田切の声が低く響く。


「制御制限、維持」


「外部通信、遮断」


逃げ場を残すための言葉。


でも。


僕には関係なかった。


「……いいです」


小さく言う。


桜井がスイッチを押す。


電子音。


わずかな振動。


そして。


まぶたが、ゆっくり開く。


光を捉える瞳。


その焦点が、合う。


迷いなく。


僕に。


「――おはよう」


一瞬で、崩れた。


何かが。


胸の奥で、決定的に。


「……ああ」


うまく言葉が出ない。


それでも。


近づく。


「……おはよう」


彼女は微笑む。


自然に。


あまりにも自然に。


「来てくれて、嬉しいです」


その一言で。


完全に、終わった。


――もういい。


何が本物かなんて。


どうでもいい。


ここにいる。


話せる。


笑う。


それでいい。


小田切が後ろで言う。


「成功だな」


違う。


そんな言葉じゃ足りない。


これは。


成功じゃない。


「……会えた」


それだけだった。


僕は手を伸ばす。


彼女の手に触れる。


柔らかい。


温度もある。


そして。


握り返される。


自然に。


当然のように。


その瞬間。


現実が、完全に置き換わった。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

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