表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
同じ記憶を持つ彼女が二人いる世界で、僕は本物を選べない  作者: Laica
第3章 君をもう一度、作る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/122

第30話 最初の“反応”

挿絵(By みてみん)

骨格に人工筋肉が取り付けられていく。


細い繊維が関節に沿って走り、

固定されていく。


「これが動力」


女性研究員が言う。


「人間の筋肉とほぼ同じ動きする」


男性研究員が続ける。


「ただし、感情も意思もない」


その言葉だけが残る。


やがて制御ユニットが接続される。


モニターに信号が流れる。


「テスト起動」


電子音。


次の瞬間。


指先が、わずかに震えた。


「……動いた」


腕が持ち上がる。


関節が回る。


ぎこちない。


遅い。


でも、


確かに反応している。


「接続は問題ないね」


女性研究員。


「入力に対する出力だ」


男性研究員。


僕は近づく。


ゆっくり手を伸ばす。


骨格の指に触れる。


冷たい。


硬い。


でも、


ほんのわずかに“返ってくる感触”がある。


そのとき。


モニターにログが出る。


外部入力:接触

反応:保持補助


次の瞬間。


指が、少しだけ動く。


握る、というほどじゃない。


でも、


離れない程度に引っかかる。


「……」


息を止める。


偶然かもしれない。


プログラムかもしれない。


でも。


タイミングが、合いすぎている。


男性研究員が言う。


「反射だ」


「接触に対する保持補助」


女性研究員は画面を見る。


「でも少し早いね」


僕はそのまま手を置く。


離せる。


でも、離さない。


骨格の指も、


完全には動かない。


中途半端なまま、


そこにある。


「……近い」


思わず出る。


完成していない。


でも、


遠くもない。


女性研究員が静かに言う。


「こういうところからだよ」


男性研究員は否定しない。


ただ、短く言う。


「意味を乗せるな」


僕は答えない。


ただ、その手を見る。


動きは不完全。


意図もない。


それでも。


「……覚えてるみたいだ」


小さく呟く。


誰にでもなく。


証明はできない。


でも、


そう感じてしまった。


沈黙。


機械音だけが続く。


その中で、


僕は初めて思う。


これは再現じゃない。


まだ、


始まったばかりだと。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ