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第23話 消された存在
朝。
ぬいぐるみがある。
昨日のまま。
現実だけが残っている。
スマホが震える。
知らない番号。
「至急、来てください」
短い。
冷たい。
学校。
空気が違う。
静かすぎる。
先生が言う。
「昨日の夜……」
止まらない。
「交通事故で亡くなった」
理解できない。
昨日、
触れた。
話した。
キスした。
それが、
消える?
クラスは静かだ。
誰も騒がない。
まるで、
最初からいなかったみたいに。
「……嘘だろ」
声が出ない。
ぬいぐるみを握る。
柔らかい。
でも。
違う。
中に、
硬いものがある。
縫い目。
違和感。
思い出す。
『覚えててね』
『代わりを作って』
『これで大丈夫』
――用意されていた。
最初から。
外を見る。
黒い車。
ゆっくり動く。
止まらない。
もう、
確認は終わっている。
僕を見ることもない。
役目を終えたみたいに。
僕は立ち尽くす。
理解する。
これは事故じゃない。
――処理だ。
彼女は、
消された。
そして僕は、
残された。
“作る側”として。
――そして僕は、まだ知らない。
彼女が残したものが、
“もう一度、彼女を作れるほどのもの”だということを。
本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。




