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彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第2章 普通の時間

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第23話 消された存在

朝。


ぬいぐるみが、手の中にある。


昨日の感触が、そのまま残っている。


――夢じゃない。


スマホが震える。


知らない番号。


「至急、来てください」


短い文章。


嫌な予感だけが、はっきりしていた。


学校。


空気が違う。


誰も騒がない。


音が遠い。


先生が僕を見る。


目を合わせられないまま、口を開く。


「昨日の夜……」


その先は、聞きたくなかった。


でも。


止まらない。


「交通事故で……亡くなったそうだ」


理解ができない。


昨日まで、隣にいた。


笑っていた。


触れていた。


キスもした。


――それが、消える?


「……嘘だろ」


声が出ない。


喉が動かない。


ぬいぐるみを握る。


柔らかい。


温かい。


現実だけが、そこにある。


でも。


一つだけ、引っかかる。


昨日の言葉。


『覚えててね』


『代わりを作って』


『これで大丈夫』


――まるで、最初から。


その日の帰り道。


同じ道を歩く。


彼女はいない。


でも。


あの黒い車が、遠くに見えた。


ゆっくりと、動いている。


僕を見ている。


いや。


“確認している”。


ポケットの中で、ぬいぐるみが少し硬く感じた。


違和感。


縫い目。


中に何かが入っているような感触。


僕は立ち止まる。


心臓が強く鳴る。


「……これ」


震える手で、ぬいぐるみを握る。


彼女は、本当に死んだのか?


それとも――


消されたのか。


夕日が沈む。


昨日と同じ空。


でも。


世界は、もう元には戻らない。


そして僕は、まだ知らない。


この“喪失”が、


最初から設計されたものだったことを。


本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。

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