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第18話 帰り道に再び
放課後。
彼女は戻ってきていた。
何もなかったみたいに。
「帰ろ」
それだけ言う。
僕は聞けなかった。
帰り道。
夕方の光。
いつもの道。
「何してたんだよ」
少しだけ踏み込む。
彼女は少し考えて、
「大したことじゃないよ」
と答える。
その間。
ほんの一秒。
“答えを選んだ”間だった。
「そうか」
それ以上は聞かない。
歩く。
その少し後ろ。
黒い車。
車内。
モニターに映る映像。
歩いている二人。
「状態は安定」
男が言う。
「反応は?」
「問題なし」
画面の中で、
彼女の視線が一瞬だけ横に動く。
「……検知したか?」
「誤差の範囲です」
車は静かに距離を保つ。
外。
「ねえ」
彼女が言う。
「うん?」
「もしさ」
少しだけ間。
「急にいなくなったら」
足が止まる。
「探す?」
冗談じゃない。
でも、
冗談みたいな声。
「……探すだろ」
彼女は少しだけ笑う。
「そっか」
それ以上は言わない。
夕方の風が吹く。
でも、
何かが確実に動いていた。
本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。




