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第17話 学校に来た男
次の日の朝。
教室には、いつもの光が差し込んでいた。
でも、
空気だけが少し違っていた。
ホームルーム中。
ドアが開く。
「失礼します」
低い声。
ざわめきが止まる。
スーツの男が二人。
静かに入ってくる。
昨日の男と、同じだった。
教室を見渡す。
止まる。
彼女の席。
彼女の手が止まる。
ペン先が、ノートに触れたまま動かない。
「転校生、○○さんですね」
名前が呼ばれる。
一瞬。
彼女の呼吸が、止まった。
「はい」
顔を上げる。
笑っている。
でも、
目だけが笑っていなかった。
「確認を行います」
短い言葉。
「はい」
立ち上がる。
迷いがない。
その動きは、
“選んでいる”ものじゃない。
“実行している”動きだった。
「今?」
思わず口に出る。
先生は、何も言わない。
黒板を見たまま。
クラスも、誰も止めない。
止められない、という空気だった。
彼女が歩く。
ドアへ向かう。
すれ違う瞬間。
小さく、
「大丈夫」
でもそれは、
誰かに言わされているみたいだった。
ドアが閉まる。
誰も動かない。
数秒後。
ざわめきが戻る。
「なんだよ今の…」
僕は答えられなかった。
あれは確認じゃない。
“回収”だ。
本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。




