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同じ記憶を持つ彼女が二人いる世界で、僕は本物を選べない  作者: Laica
第2章 見てはいけない違和感

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第16話 見ていた人

挿絵(By みてみん)

その日の放課後。


帰り道。


今日は二人だけだった。


「今日は静かだね」


「そうだね」


言葉は少ない。


でも、


それで困らない。


コンビニの前。


彼女が少しだけ視線を向ける。


入り口。


光。


人の出入り。


「今日はいいかな」


小さく首を振る。


また歩き出す。


そのとき。


黒い車が横を通り過ぎる。


音は、ほとんどない。


僕は気にしない。


でも――


彼女は振り返った。


一瞬だけ。


「どうしたの?」


「ううん」


すぐに笑う。


少し歩いてから。


「ねえ」


前を見たまま。


「知らない人にさ」


間。


「連れて行かれそうになったら」


空気が変わる。


「逃げられると思う?」


軽く言っている。


でも、


軽くない。


「……どうだろうな」


それしか出てこない。


彼女は小さくうなずく。


「そっか」


それ以上は言わない。


でも、


さっきの質問は残る。


――少し離れた場所。


黒い車が止まっている。


車内。


モニター。


歩いている二人の映像。


「対象、安定状態を維持」


低い声。


「逸脱は?」


「軽微。閾値未満」


短い沈黙。


「回収条件は満たしている」


運転席の男が言う。


「だが――」


後部座席の男。


「もう一体の出現を確認するまでは待機だ」


「了解」


画面の中で、


彼女が一瞬だけ振り返る。


カメラの方向に。


「……検知したか」


「誤差の範囲です」


だが、


男は否定しなかった。


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