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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第6章「上位存在」

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第90話「同格」

 「……ここからだ」


 踏み込む。


 重力。


 時間。


 空間。


 判定領域の中で使われる理屈が、今度は全部同時に変わる。


 「……全部来るな」


 “それ”が動く。


 見えない。


 だが、もうそれは欠点じゃなかった。


 「……分かる」


 未来視。


 感覚。


 その全部をまとめて使う。


 回避。


 ——ドンッ。


 衝撃が遅れて来る。

 今度はさらに深い。

 時間がずれているだけじゃなく、存在の乗り方そのものが違う。


 「……合わせる」


 ズレに。


 時間に。


 向こうが基準にしているルール、その縁に。


 「……そこだ」


 踏み込む。


 「——斬る!」


 ——ガキンッ!!


 深い衝突。


 前より明らかに手応えが違う。


 「……入るな」


 “それ”が初めて大きく揺れた。


 『……異常増大』


 「……だろうな」


 在真は笑う。


 「……届いてる」


 その瞬間、“それ”の気配が変わった。


 さらに上。


 判定の段階を、もう一枚剥がしてくるような冷たさ。


 「……来るぞ」


 次の瞬間、空間が完全に消えた。


 「……っ?」


 何もない。


 完全な無。


 だが、それでも“それ”と自分が向き合っていることだけは分かる。


 「……存在だけか」


 残っているのは、そこに在るという事実だけ。

 “それ”が告げる。


 『最終判定』


 「……気味悪いな」


 笑う。


 「……やるだけだ」


 踏み込む。


 だが、距離がない。


 位置もない。


 前へ出るという表現すら、もう半分くらい間違っている。


 「……形がねぇな」


 「……なら」


 剣を構える。


 「……こっちも、きれいには収まらねぇ」


 領域を広げる。


 さらに上へ。


 幸運。


 空間。


 時間。


 ここまで自分の中へ積んできたもの全部を、切り分けずに重ねる。

 勝つためじゃない。向こうの判定にきれいに収まらない形を作るために。


 「……混ぜる」


 「——斬る!」


 ——ガキィィィンッ!!


 完全な衝突。


 何もないはずの場所で、世界が一度だけ震えた気がした。


 「……ずれたな」


 “それ”が止まる。


 一瞬。


 『……同格認定』


 静寂。


 「……そうか」


 息を吐く。


 「……通っただけだな」


 “それ”がわずかに頷く。


 『排除中止』


 その瞬間、空間が戻った。


 重さ。


 音。


 判定領域の硬い静けさが少しずつほどけていく。


 「……終わりか」


 “それ”が言う。


 『資格取得』


 「……資格か」


 少しだけ笑う。


 「……まだ人間側に戻れるか、怪しいな」

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