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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第5章「境界深層」

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第87話「崩壊」

 「……ここで終わらせる」


 踏み込む。


 制御の中心は、もう目の前だった。

 世界が崩れていく中で、そこだけが嫌に鮮明に見える。


 「あそこだ」


 剣を振る。


 「——斬る!」


 ——バキィィィィィッ!!


 大きなヒビが走った。

 だが、まだ足りない。


 「……まだだ!」


 さらに押し込む。


 周囲では空間が裂け、上下が消え、時間の前後まで曖昧になっていた。

 それでも——。


 「……関係ねぇ」


 「——貫け!」


 全力を乗せる。


 腕、肩、背中、領域、その全部が一つの線になる。

 斬るというより、崩れかけた世界に自分の形を押し込む感覚だった。


 ——パキン。


 乾いた音だった。


 次の瞬間、中心にあった硬い感触が砕ける。

 それと同時に、さっきまで暴れていた歪みが一拍遅れて止まった。


 空間。


 圧。


 崩壊。


 すべてが、息を切らしたみたいに静かになる。


 「……終わったな」


 “それ”が崩れていく。

 形を失い、影ですらなくなって、ただ薄くほどけるように消えた。

 神崎が大きく息を吐く。


 「……マジかよ」


 レオンは短く頷いた。


 「……中枢制圧」


 その時、ウィンドウが開く。


 【討伐】


 管理干渉体を撃破しました


 【報酬】


 ・固有強化:幸運(第4段階)

 ・領域支配(初期)

 ・DP:10億


 【レベルアップ】


 Lv57 → Lv65

 攻撃力:720 → 900

 防御力:470 → 620


 【武器成長】


 天羽々斬 Lv57 → Lv65

 攻撃力+900 → +1200


 「……65か」


 数字を見ても、もう驚きは薄い。

 だが、剣を軽く振った瞬間、今までとは違う感触がはっきりあった。


 「……いいな」


 その瞬間、周囲の空間がもう一度悲鳴を上げた。


 「……来るぞ!」


 今度は戦闘じゃない。


 崩壊そのものだ。


 レオンが叫ぶ。


 「……戻る!」


 前方に歪みが見えた。


 出口。


 あるいは、現実へつながる最後の裂け目。


 「あそこだ」


 踏み込む。


 崩壊の中を突っ切る。


 「……行くぞ!」


 三人で全力。


 その瞬間、視界が白く塗り潰された。

 感覚が一度、完全に切れる。


 次の瞬間。


 硬い地面。


 現実の空気。


 「……戻ったか」


 空を見上げる。


 何もない。


 だが、もう同じ空には見えなかった。


 「……違うな」


 感覚が変わっている。


 「……掴んだな」


 領域。


 空間。


 支配とまではまだ呼べないが、触り方だけは理解した。


 「……使える」


 神崎が呆れたように笑う。


 「お前もう何やってんだよ」


 レオンは周囲を確かめながら低く言った。


 「……ここから先は」


 少し間を置く。


 「……世界じゃない」


 「……ああ」


 「……次は“上”だな」


 少しだけ笑う。


 「……いい」

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