第83話「支配」
深層を進むほど、敵の形は曖昧になり、その代わり空間のほうが明確な敵意を持ちはじめた。
影の群れ。
揺れる守衛。
「……分かるな」
レオンが短く言った。
「……中枢に近づいている」
神崎が周囲を見ながら笑う。
「歓迎はされてねぇな」
前方の闇が沈んだかと思えば、今度は左右の空間が同時に折り畳まれ、逃げ場ごと潰しにくる。
在真は踏み込む。
「……そこだ」
斬る。
——ガキンッ。
衝突。
空間がわずかに軋む。
神崎が目を細める。
「……おい、今の」
レオンが答える。
「……深層が反応している」
在真は笑う。
「……なら近いな」
さらに進む。
やがて広い空間へ出た。
天井は見えない。
床はあるのに、踏むたび感触が少し変わる。
その中央に、黒い柱のようなものが立っていた。
いや、柱に見えるだけだ。
近づくたび、その形は微妙に変わる。
神崎が低く言う。
「……あれか」
レオンも頷く。
「……深層中枢へ繋がる干渉体だ」
在真は剣を抜いた。
「……いい」
「……開くか」
次の瞬間、柱の周囲から影が一斉に剥がれ落ちる。
だが、在真は止まらない。
神崎が横へ出る。
「俺が散らす!」
レオンがすぐ続ける。
「……核ではない。接続点を露出させろ」
「……接続点を出すぞ」




