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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第5章「境界深層」

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第81話「深層」

 世界序列1位になったあとも、基地は妙に静かだった。

 祝福も興奮も長くは続かない。


 「……行くぞ」


 在真の一言で、準備はそれ以上要らなかった。

 神崎もレオンも、止める気は最初からない。

 ガルも当然のように足元へ並ぶ。


 基地の外れ。


 封鎖された広い区画。

 「……また変なもんだな」


 神崎が顔をしかめる。


 「前のより静かだ」


 レオンが言う。


 「……静かすぎる。だからこそ深い」


 在真はその歪みの前に立つ。

 「……行く」


 踏み出す。


 次の瞬間、視界が変わる。


 暗い。


 「……ここか」


 地面はある。


 空間もある。


 だが、そのどちらも安定していない。

 足を乗せた感触が、半拍遅れて返ってくる。

 踏んだはずなのに、まだ踏み切れていない気持ち悪さが残った。

 神崎が周囲を見回す。


 「……境界外より気持ち悪ぃな」


 レオンが短く答える。


 「……深層だ」


 「……管理側に近い」


 在真は少しだけ笑った。

 その時、遠くで空気が揺れた。

 風じゃない。

 何かがこちらを認識した時の揺れだった。


 「……来るな」


 影のようなもの。


 だが、影と呼ぶには輪郭が濃すぎる。

 「……さっそくか」


 視界の端で、一瞬だけ自分の手の輪郭が薄くなった。

 すぐ戻る。

 だが、あまり長くいたくない場所だとはそれで十分だった。


 神崎が拳を鳴らす。

 けれど、音が妙に小さい。

 この場所そのものが、鳴るはずのものを削っている。

 在真は剣を抜いた。


 「……静かすぎるな」


 「……抜けるぞ」

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