第75話「頂」
朝。
中央フィールドは、不自然なくらい静かだった。
足を踏み入れる。
広い。
何もない。
だからこそ、誤魔化しが効かない。
「……ここか」
空気が変わる。
「……来るな」
前方。
1位はすでに立っていた。
「……待ってたぞ」
静かに言う。
在真も短く返す。
「……ああ」
まだ距離はある。
「……遠くねぇな」
神崎とレオンが外へ下がる。
神崎が軽く顎を上げた。
「……二人でやるな」
「……ああ」
静寂。
1位が言う。
「……行くぞ」
次の瞬間。
——消える。
「……来た」
未来視を走らせる。
だが、さすがに最初から完全には見えない。
「……見えねぇ」
それでも、気配だけは拾える。
「……感じる」
回避。
——ドンッ!!
地面が砕ける。
掠っただけで、フィールドそのものが一段沈んだ。
「……速いな」
在真は踏み込む。
「——斬る!」
——スッ。
抜ける。
1位は、また同じ場所にいる。
「……やっぱりな」
前回と同じ。
「……違うな」
「……“ズラしてる”」
1位がわずかに笑う。
「……見えるようになったか」
「……ああ」
在真は連続で踏み込む。
「……そこ」
——スッ、スッ、スッ。
「……触れるな」
「今日はまず一発だ」
1位の目がわずかに細くなる。
「……一発だ」
その瞬間、気配が変わった。
「……来る」
圧が上がる。
「……速い!」
未来視。
「……ギリだな」
回避。
だが掠る。
ほんの薄く触れただけで、骨まで重い。
「……重い」
体勢を戻す。
「……いい」
在真は笑う。
「……通じてる」
踏み込む。
「……次で当てる」
火。
風。
水。
土。
全部を開く。
「——斬る!」
——ガキンッ!!
今度は違う。
1位が一歩だけ後ろに下がる。
周囲がざわついた。
神崎が小さく笑う。
「……やるじゃねぇか」
レオンも目を細める。
「……届いてる」
1位が自分の剣を見下ろす。
それから、ゆっくり顔を上げた。
「……見えたか」
「……ここからだ」
その瞬間、空気が変わった。
「……来るぞ」




