第70話「条件」
「……次は抜く」
「その前にだ」
レオンだった。
前へ出る。
「……序列は、戦うだけじゃ上がらない」
在真が視線を向ける。
「……どういう意味だ」
レオンはスクリーンを指した。
表示が切り替わる。
【世界序列・更新条件】
「……三つある」
「……聞こう」
レオンは淡々と続ける。
「一つ。純粋戦闘評価」
神崎が鼻を鳴らす。
「……さっきのやつだな」
「……ああ」
「二つ。討伐実績」
在真が言う。
「……数か」
「違う」
レオンが首を振った。
「“質”だ」
「……なるほどな」
「三つ」
レオンが少しだけ間を置いた。
「……干渉領域」
神崎が眉をひそめる。
「……なんだそれ」
レオンは短く答えた。
「境界外」
「あそこか」
「……あれを扱えるかどうか」
在真が続ける。
神崎が顔をしかめる。
「……規模がデカいな」
「……じゃあ」
視線を上げる。
「一番早いのは?」
レオンは即答した。
「……二つ目だ」
「討伐実績」
「……強いやつ倒せばいい」
「……ああ」
在真は少しだけ笑う。
「……それなら早い」
「……分かりやすい」
条件より、その先にいる相手の濃さのほうが大事だった。
数字が動くかどうかは、そのあとでいい。
その時、スクリーンがまた切り替わる。
新しい表示。
地図。
海上の一点だけが赤く点灯している。
「……なんだこれ」
神崎が首を傾げる。
レオンが目を細めた。
「出たばかりだ」
「……何がだ」
「特異個体」
空気が変わる。
その単語だけで、周囲の上位覚醒者たちもざわめいた。
神崎が聞く。
「……さっきのより上か?」
レオンが頷く。
「……可能性は高い」
「……討伐そのものより、海上異常を解けるかが本質だ」
静寂。
在真は少し笑った。
「……悪くねぇ」
「……行くか」
神崎が呆れたように笑う。
「迷わねぇなほんと」
「……強いならいい」
それだけだ。
レオンがこちらを見る。
「……準備しろ」
「……ああ」
歩き出す。
ガルが当然のように並ぶ。
神崎が肩をすくめた。
「……またデカいのか」
「……だろうな」
在真は少しだけ笑う。
「……いい」




