表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第3章「境界外」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/96

第64話「突破」

 「……次で壊す」


 在真がそう言った瞬間、源の気配が一段重くなった。

 見抜かれたと分かったのだろう。

 周囲の空間が、さっきまでよりはっきりこちらを拒絶し始める。

 空気そのものが、肌の上から押し返してくる。

 前へ出るだけで、薄い壁を何枚も破っているみたいだった。


 レオンが短く言う。


 「……来るぞ」


 源が動く。


 今度は正面からじゃない。

 空間そのものが少し折れ、そっちから現れる。


 「……またその手か」


 神崎が歯を食いしばる。


 在真は踏み込む。


 見えている位置は捨てる。

 歪みの中心だけを追う。


 「……そこ」


 回避。


 直後に衝撃が落ちる。


 ——ドンッ。


 「……読めるな」


 まだ完璧じゃない。

 それでも、体はもうこういうズレ方を覚え始めていた。

 躊躇して止まるほうが危ない。

 考えてから動くと間に合わない。

 先に足が出るほうが、まだましだった。


 神崎が横から圧をかける。


 「今だ!」


 レオンも空気を押さえる。


 「……通せ」


 在真は一直線に核へ向かった。


 「——斬る!」


 ——バキッ。


 外殻にさらにヒビが入る。


 だが、まだ足りない。


 源が暴れる。

 群れの異形たちも、遠くから一斉にこちらへ押し寄せ始める。

 遠いはずなのに、気配だけ先に首筋へ触ってくる。

 数が増えるほど、空間の奥行きまで濁っていった。


 神崎が振り向きざまに殴り飛ばしながら笑う。


 「ほんとキリねぇな!」


 「……もう少しだ」


 在真は剣を握り直す。


 火。


 風。


 水。


 土。


 全部を、ひとつの一点突破へ寄せる。


 「……全部乗せる」


 源がもう一度正面から来る。


 だが——。


 「……遅い」


 歪みの内側へ潜り込む。

 今度は完全に核だけを見る。

 視界の端で何が暴れていても、そこだけ濃い。

 他は全部、そこへ届くまでの邪魔でしかなかった。


 「——貫け!」


 ——バキィィィッ!!


 深い。


 外殻が大きく剥がれ、核が半分ほど露出した。


 神崎が叫ぶ。


 「見えた!」


 レオンもすぐ言う。


 「……次で終わる」


 在真は笑った。


 「……ああ」


 源の気配がさらに跳ね上がる。

 最後の抵抗。

 空間全体が一瞬だけ逆巻く。

 足元が消えかける。

 それでも、引く感じだけはしなかった。


 それでも、もう怯まない。


 「……来るなら来い」


 剣を構える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ