第61話「異形」
「……進む」
足を踏み出す。
地面はない。
だが——
「……立てるな」
踏めている。
「……感覚がおかしい」
神崎が周囲を見る。
「上下、意味ねぇなこれ」
「……ああ」
重力が曖昧。
方向も曖昧。
「……慣れるしかねぇな」
歩く。
だが——
距離感がズレる。
「……遠いのか近いのか分からんな」
その時。
——ドクン。
「……来るぞ」
前。
何もない空間が歪む。
そして——
現れる。
「……なんだこれ」
形が定まらない。
人型でもない。
生物ですらない。
「……異形だな」
レオンが静かに言う。
詳細鑑定。
【???】
Lv???
「……出ねぇか」
笑う。
「……いいな」
異形が動く。
音はない。
だが——
「……来てる」
体が反応する。
横へ。
——スッ。
何かが通る。
「……触れたら終わりだな」
神崎が構える。
「見えねぇぞこれ!」
「……感じろ」
短く言う。
踏み込む。
「……行く」
異形へ。
だが——
「……ズレる」
位置が安定しない。
「……こっちもか」
世界ごとズレている。
「……面倒だな」
その瞬間。
後ろ。
「……増えたな」
もう一体。
さらに——
「……三か」
囲まれる。
神崎が笑う。
「マジかよ……」
レオンが前に出る。
「分ける」
短く指示。
「在真、正面」
「……了解」
踏み込む。
正面の異形へ。
「……そこ」
斬る。
——スッ。
「……浅いな」
感触が薄い。
だが——
「……効いてる」
わずかに揺れる。
その瞬間。
異形が変わる。
「……は?」
形が変形する。
「……適応してるな」
攻撃を避けるように。
「……いいな」
笑う。
「……やること同じか」
踏み込む。
連続で斬る。
「……当て続ける」
——スッ、スッ、スッ。
少しずつ削る。
だが——
「……終わりが見えねぇな」
その時。
横。
神崎が吹き飛ぶ。
「……ぐっ!」
「……増えてるぞ!」
振り向く。
「……五か」
さらに増えている。
「……無限か?」
レオンが低く言う。
「……違う」
観る。
流れ。
「……出てきてるな」
奥。
さらに深い場所から。
「……源あるな」
確信。
「……そこ潰す」
踏み出す。
異形が群がる。
だが——
「……邪魔だ」




