第49話「前夜」
基地の一室。
静かだ。
さっきまでの緊張が嘘みたいに。
「……来るんだな」
窓の外。
夜。
街の灯りが遠くに見える。
「……ああ」
神崎が壁にもたれる。
「今までのとは違う」
「……分かってる」
短く返す。
あの映像。
頭から離れない。
「……規模が違うな」
「……世界規模だ」
神崎が呟く。
「……面白いな」
少しだけ笑う。
「……ほんとブレねぇな」
神崎が呆れる。
「……怖くねぇのか」
「……どうだろうな」
少し考える。
「……強いやつがいるなら、いい」
それだけだ。
「……お前らしいな」
静かになる。
ガルが足元に寝転がる。
「……寝るか?」
神崎が聞く。
「……いや」
首を振る。
「……準備する」
剣を手に取る。
天羽々斬。
「……上がってるな」
軽く振る。
感覚が違う。
「……いいな」
目を閉じる。
戦いを思い出す。
動き。
流れ。
「……まだ足りねぇな」
さらに上。
まだ届かない。
「……そこまで行く」
目を開ける。
その時。
——コンコン。
ノック。
「……入るぞ」
レオンが入ってくる。
「……珍しいな」
「……少し話だ」
短く言う。
「……なんだ」
レオンがこちらを見る。
「……お前」
一瞬、間。
「どこまで行くつもりだ」
「……上だな」
即答。
「……どこまでだ」
「……限界まで」
レオンが小さく笑う。
「……いいな」
「……お前は?」
聞き返す。
「……同じだ」
短い。
だが、十分。
「……じゃあ問題ねぇな」
少しだけ笑う。
レオンが頷く。
「……明日だ」
「……ああ」
静かになる。
「……寝とけ」
レオンが言う。
「……無理だな」
軽く返す。
レオンが出ていく。
再び静寂。
「……明日か」
空を見る。
夜。
「……楽しみだな」




