第43話「首都」
ヘリが首都圏に入る。
景色が変わる。
建物。
道路。
人の痕跡。
だが——
「……おかしいな」
静かすぎる。
「……避難は終わってるはずだが」
神崎が眉をひそめる。
「……違うな」
視線を下へ。
街。
歪んでいる。
ビルが、曲がっている。
地面が、沈んでいる。
空間そのものが——
「……侵食されてる」
しかも——
「……範囲が違う」
都市全体。
「……でかすぎるな」
神崎が小さく呟く。
ヘリが高度を下げる。
中心部。
そこに——
巨大な“穴”。
だが、今までと違う。
「……開いてるんじゃないな」
「……食われてる」
建物ごと、落ちている。
「……底が見えねぇな」
暗い。
深い。
「……行くぞ」
着陸。
外に出る。
空気が重い。
「……これは」
今までとは比べ物にならない。
「……濃すぎる」
ガルが低く唸る。
「……やばいな」
その瞬間。
——ドクン。
音。
「……来るな」
周囲。
地面が揺れる。
そして——
人影。
「……人?」
だが違う。
目が虚ろ。
動きが歪んでいる。
「……侵食されてるな」
数が多い。
「……多すぎるだろ」
神崎が構える。
「どうする?」
「……まとめていく」
踏み込む。
「……風」
広範囲。
——シュンッ!!
複数を切り裂く。
だが——
「……止まらねぇな」
後ろから次々に出てくる。
「……キリがねぇ」
「……違うな」
観察する。
「……これ」
視線。
奥。
「……流れてる」
侵食体が、同じ方向へ動いている。
「……中心があるな」
神崎が気づく。
「……ああ」
つまり——
「……そこ叩く」
方向を変える。
奥へ。
侵食体を無視して進む。
「……邪魔だ」
最小限で捌く。
避ける。
斬る。
抜ける。
そして——
見えた。
「……でけぇな」
中心。
地面の奥。
“巨大な影”。
動いている。
「……今までのとは違う」
神崎も止まる。
「……ああ」
圧が違う。
「……あれが本体か」
その瞬間——
影が動く。
「……来るぞ」
空気が変わる。




