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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第2章「覚醒者」

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第38話「上位」

 都市ダンジョン制圧から数日。


 基地の空気は、以前とは明らかに変わっていた。


 「……やりやすくなったな」


 廊下を歩くだけで、視線の意味が違う。


 警戒ではない。


 尊敬。


 あるいは——


 距離。


 「……完全に上側扱いだな」


 神崎が横で笑う。


 「自覚ないのか?」


 「……あんまりな」


 実感は薄い。


 「……お前、今この国でも上位だぞ」


 「……そうか」


 軽く返す。


 「……ほんとブレねぇな」


 神崎が呆れる。


 その時。


 「大月 在真」


 呼ばれる。


 振り向く。


 スーツ姿の男。


 「……来たな」


 明らかに軍とは違う。


 「政府側の人間だ」


 神崎が小さく言う。


 「……なるほどな」


 男が歩み寄る。


 「初めまして」


 「内閣直轄、覚醒者対策室の者です」


 「……長いな」


 「……そうですね」


 軽く流す。


 「要件は?」


 単刀直入に聞く。


 「あなたに依頼があります」


 「……内容は?」


 男が一枚の資料を差し出す。


 そこには——


 地図。


 複数の地点に印がついている。


 「同時発生型ダンジョンです」


 「……複数?」


 「はい」


 「全国で同時に確認されています」


 「……それはまた派手だな」


 神崎が眉をひそめる。


 「一つ一つは中層規模」


 「ですが——」


 一瞬、間が空く。


 「同時です」


 「……戦力分散か」


 「その通りです」


 戦力が足りない。


 「……で」


 視線を向ける。


 「俺に何させたい」


 「中核の一つを任せたい」


 「……一つだけか?」


 「はい」


 「ただし——」


 男の声が少し低くなる。


 「最も危険度の高い地点です」


 「……だろうな」


 簡単な話ではない。


 「……条件はいつも通りだ」


 拘束なし。


 自由。


 「問題ありません」


 即答。


 「……いいな」


 資料を見る。


 位置。


 都市ではない。


 山間部。


 「……こっちは人少ないな」


 「ですが、規模が異常です」


 「……なるほど」


 つまり——


 「……当たりってことか」


 少しだけ笑う。


 神崎が横で肩をすくめる。


 「やっぱり行くか」


 「……ああ」


 迷いはない。


 「……準備する」


 男が頷く。


 「部隊も同行させます」


 「……好きにしろ」


 制限はない。


 「……在真」


 神崎が呼ぶ。


 「俺も行く」


 「……だろうな」


 軽く返す。


 「……面白くなってきたな」


 複数同時発生。


 高難易度。


 「……やりがいある」


 視線を外へ。


 空。


 「……次は、どこまで行けるか」

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