第36話「核」
侵食体を倒したあとも、空気の重さは消えなかった。
むしろ——
「……濃くなってるな」
奥へ進むほど、魔力が濃くなる。
「……これ、中心に近いな」
神崎も同じことを感じている。
「……ああ」
周囲。
崩れた建物。
歪んだ空間。
まるで現実とダンジョンが混ざっているような状態。
「……侵食型ってこうなるのか」
「完全に飲み込まれると、元に戻らない」
神崎が短く言う。
「……だから早く潰す必要がある」
「……なるほどな」
進む。
敵は出ない。
だが——
「……静かすぎる」
嫌な予感。
未来視を使う。
だが——
「……見えない」
何も引っかからない。
「……逆に怖ぇな」
その時。
——ドクン。
音。
心臓のような。
「……聞こえたか」
「……ああ」
もう一度。
——ドクン。
確実に、奥から。
「……行くぞ」
速度を上げる。
通路を抜ける。
そして——
開けた空間。
その中央にあったのは——
巨大な“塊”。
肉のような。
黒い。
脈打つ塊。
「……これが核か」
詳細鑑定。
【侵食核】
Lv???
・特性:無限生成
・再生:極大
・弱点:不明
「……また不明か」
その瞬間。
塊が脈打つ。
——ドクンッ!!
周囲から侵食体が“湧く”。
「……無限かよ」
神崎が舌打ちする。
「キリがねぇぞ」
「……だろうな」
冷静に見る。
生成位置。
タイミング。
「……核から出てる」
つまり——
「……元を潰すしかない」
「……どうやる」
「……直接いく」
シンプル。
「……無茶だな」
「……いつもだ」
踏み込む。
侵食体が前に出る。
「……邪魔だ」
風。
——シュンッ!!
まとめて削る。
水。
流す。
土。
固定。
「……抜ける」
強引に突破する。
だが——
「……再生速ぇな」
後ろから追ってくる。
「……時間ねぇな」
核の前へ。
「……でけぇな」
近くで見ると、さらに異様。
「……どう壊す」
未来視。
何も見えない。
「……なら」
剣を構える。
「……叩き込む」
シンプルに。
踏み込む。
全力で振る。
——ガンッ!!
弾かれる。
「……硬すぎるな」
神崎が後ろで防いでいる。
「早くしろ!」
「……分かってる」
観察。
脈動。
「……タイミングか」
鼓動。
——ドクン。
その瞬間、表面がわずかに柔らかくなる。
「……そこだ」
踏み込む。
「——斬る!」
——ザシュッ!!
今度は入る。
「……いける!」
もう一度。
——ドクン。
合わせる。
「……今だ!」
深く突き込む。
「——貫け!」
内部へ。
手応え。
だが——
核が大きく脈打つ。
——ドクンッ!!
衝撃。
「……っ!」
弾き飛ばされる。
「……まだ足りねぇか」
だが、確実に効いている。
「……あと一押しだ」
神崎が横に並ぶ。
「……合わせるぞ」
「……ああ」
次の鼓動。
「……これで終わらせる」
核が脈打つ。
——ドクン。
「——今だ!」
同時に踏み込む。
その一撃が——
すべてを終わらせる。




