第34話「都市ダンジョン」
ヘリが都市上空に差し掛かる。
見慣れたはずの景色が、明らかに変わっていた。
道路は封鎖。
車は放置。
人の姿は、ほとんどない。
「……避難は終わってるな」
「一応な」
隣の神崎が答える。
「だが、中に取り残された人間もいる」
「……だろうな」
視線を下へ。
街の中心。
そこに——
“穴”が開いている。
「……あれが入口か」
地面が抉れ、巨大な空間が露出している。
「……ダンジョンって感じじゃねぇな」
「今回は“侵食型”だ」
「既存の空間を飲み込むタイプ」
「……厄介だな」
ヘリが着陸する。
降りる。
空気が違う。
「……もう始まってるな」
魔力の濃度が高い。
「……制限あるぞ」
神崎が言う。
「都市内は破壊制限」
「建物壊しすぎると被害拡大扱いだ」
「……つまり」
「派手にやるなってことか」
「そういうことだ」
少しだけ笑う。
「……面白い」
制限付き。
やりがいがある。
「……行くぞ」
侵入。
内部。
暗い。
だが——
「……近いな」
気配。
すぐに現れる。
人型。
だが、歪んでいる。
「……人間だったやつか?」
詳細鑑定。
【侵食体】
Lv450
・特性:群体/再生
・弱点:核(胸部)
「……数が来るタイプだな」
その瞬間。
——ザザザッ。
複数。
周囲から現れる。
「……囲まれたか」
神崎が構える。
「どうする?」
「……分ける」
即答。
「俺が前」
「お前は横と後ろ」
「……了解」
動く。
侵食体が一斉に突っ込んでくる。
「……遅い」
未来視。
「……見えてる」
踏み込み。
「……風」
風刃でまとめて削る。
——シュンッ!!
数体が崩れる。
だが——
「……再生するな」
すぐに戻る。
「……核だな」
踏み込む。
胸部。
「……そこだ」
突き。
——グシャッ。
一体、消滅。
「……これだ」
横。
神崎が複数を相手にしている。
「……やるな」
素手で捌いている。
「……無駄がない」
戻る。
前。
さらに数が増える。
「……キリがねぇな」
だが——
「……まとめてやる」
「……水」
流す。
動きを止める。
「……土」
固定。
「……今だ」
連続で核を潰す。
——グシャッグシャッ!!
複数、同時に消滅。
「……効率いいな」
その時。
「……在真!」
神崎の声。
振り向く。
奥。
明らかに違う気配。
「……来たな」
大型。
そして——
人影。
「……まだ生きてる」
取り残された民間人。
そのすぐ近くに——
巨大な侵食体。
「……まずいな」
距離がある。
時間がない。
「……行くぞ」
踏み込む。
制限。
環境。
時間。
すべてを無視して——
「……助ける」




