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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第2章「覚醒者」

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第30話「交渉」

 銃口が、一斉にこちらへ向けられる。


 「そのまま動くな」


 低い声。


 感情は抑えているが、完全に警戒されている。


 「分かった」


 両手を軽く上げる。


 無駄な刺激は避ける。


 「敵じゃない」


 短く言う。


 「……それを判断するのは、こちらだ」


 当然の返答。


 ガルが低く唸る。


 「……ガル、下がれ」


 小さく命じる。


 少しだけ後ろに下がる。


 それだけで、空気がわずかに緩む。


 「……会話はできるな」


 前に出てきた男。


 装備から見て、指揮官クラス。


 「名前は?」


 「大月 在真」


 「所属は?」


 「なし」


 一瞬、間が空く。


 「……単独か?」


 「そうなるな」


 ざわつきが広がる。


 「……さっきの戦闘、見てたよな」


 あえて言う。


 「……見ていた」


 短く返ってくる。


 「……あれが今の実力だ」


 事実だけを伝える。


 誇張も隠しもない。


 沈黙。


 「……正直に言う」


 指揮官が口を開く。


 「その力は危険だ」


 「……だろうな」


 否定しない。


 「……だが」


 視線を向ける。


 「敵に回る気はない」


 はっきりと言う。


 空気が少しだけ変わる。


 「……証明できるか?」


 「今すぐ証明は無理だな」


 正直に答える。


 「……でも」


 一歩だけ前に出る。


 銃口がわずかに揺れる。


 「さっきのやつ、倒しただろ」


 「……あれは、今の装備じゃ厳しかったはずだ」


 沈黙。


 否定できない。


 「……だから、敵じゃない」


 「……利用価値がある、か」


 指揮官が呟く。


 「そういう見方で構わない」


 無理に否定しない。


 「……条件は?」


 すぐに来る。


 「拘束はなし」


 「行動の自由は確保」


 「必要なら協力はする」


 簡潔に。


 「……ずいぶん強気だな」


 「……それだけの力はある」


 間違っていない。


 沈黙。


 周囲の兵士たちも、判断を待っている。


 やがて——


 「……いいだろう」


 銃口が、ゆっくりと下がる。


 「一時的に協力関係とする」


 「……助かる」


 軽く息を吐く。


 ガルも唸りを止める。


 「……ただし」


 「監視はつける」


 「……好きにしろ」


 問題ない。


 「……こちらも情報が欲しい」


 「……それは後で話す」


 やり取りが成立する。


 「……とりあえず」


 指揮官が周囲を見る。


 「負傷者の回収を優先する」


 「……ああ」


 戦闘の余波。


 まだ完全には終わっていない。


 だが——


 「……これで、外とも繋がったな」


 完全に“孤独”ではなくなった。


 「……面白くなってきた」


 その一歩が——


 世界との関係を変えていく。


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