第29話「露見」
森の奥から現れたそれは、これまでのモンスターとは明らかに違っていた。
巨体。分厚い皮膚。鈍く光る眼。
「……外にも、こういうのが出るのか」
詳細鑑定を発動する。
【グラウル】
Lv820
・HP:高
・攻撃力:高
・防御力:高
・特性:暴走/高耐久
・弱点:喉部(柔)
「厄介な万能型ってやつか」
その瞬間、軍の一人が叫ぶ。
「全員、構えろ!!」
銃声。
——ダダダダダッ!!
弾丸がグラウルへ叩き込まれる。
だが——
「……効いてないな」
弾かれる。
ほとんどダメージが入っていない。
「くそっ……!」
「全然通らない!」
グラウルが動く。
——ドンッ!!
突進。
「散開しろ!!」
だが、遅い。
——ガンッ!!
一人が吹き飛ぶ。
「ぐあっ!!」
「……危ないな。見捨てるのは性に合わない」
足が勝手に動く。
「……ガル」
低く一声。
ガルが駆け出す。
「……止める」
踏み込む。
グラウルがこちらを見る。
「……こっちだ」
意識を引く。
咆哮。
「……うるせぇな」
突進。
未来視。
「……見えてる」
横へ。
最小動作で回避。
そのまま、側面へ。
「……硬いな」
軽く斬る。
やはり通らない。
「……弱点は——」
喉。
「……そこだ」
だが、その前に——
——ドンッ!!
腕が振られる。
「……速い」
受け流す。
だが、重い。
「……パワーもあるな」
ガルが背後から噛みつく。
グラウルの動きが止まる。
「……今だ」
踏み込む。
「……風」
風で位置を調整。
「……火」
熱で動きを鈍らせる。
「……終わりだ」
全力で振り抜く。
喉へ。
——ザシュッ!!
深く入る。
「……いける」
さらに一歩。
「……落ちろ」
もう一撃。
——バキッ!!
喉が砕ける。
グラウルが崩れる。
静寂。
「……これで終わりだ」
その場に立つ。
周囲。
静まり返っている。
「……?」
振り返る。
軍の連中。
全員、こちらを見ている。
「……あ」
完全に見られていた。
「……やりすぎたか?」
一人が、ゆっくりと口を開く。
「……今の……一人で?」
「……まあ、一応」
沈黙。
重い空気。
そして——
「……確保だ」
「……は?」
銃口が一斉に向けられる。
「その力、危険すぎる」
「……そう来るか」
ガルが唸る。
「……落ち着け」
だが、状況は明らかに敵対に傾いている。
「……どうするか」
逃げるか。
戦うか。
それとも——
「……まずは話すか」
その選択が、今後を大きく左右する。




