第24話「中ボス」
上層中央へ近づくにつれて、空気が重くなっていく。
敵の気配が、ひとつに収束している。
「……ここだな」
広い空間に出る。
床は滑らかに整えられ、周囲には何もない。
そして中央——
そこに浮かんでいたのは、巨大な“目”。
「……また目かよ」
だが、今までのフロートアイとは明らかに違う。
大きさ。密度。圧。
詳細鑑定。
【アークアイ】
Lv980
・HP:高
・攻撃力:魔法特化(超高)
・特性:多重詠唱/空間制御(微)
・弱点:中心核(防御強)
「……厄介な能力持ちだな」
ガルが低く唸る。
「……行くぞ」
先に動いたのは、アークアイ。
——ゴォン。
空間が歪む。
「……来る!」
次の瞬間、光弾が“複数”生成される。
「……多すぎるだろ」
未来視。
軌道が見える。
だが——
「……全部は無理か」
最低限を避ける。
踏み込み。
回避。
さらに回避。
——ドドドンッ!!
床が抉れる。
「……火力高ぇな」
だが、距離は詰められる。
「……風!」
風刃を飛ばす。
——シュンッ!!
命中。
だが——
「……硬いな」
ヒビは入るが、崩れない。
「……削るしかねぇか」
ガルが跳ぶ。
だが、届かない。
「……援護する」
「……火」
炎を重ねる。
——ボォッ!!
アークアイの動きがわずかに鈍る。
「……今だ!」
ガルが再度跳ぶ。
——ガウッ!!
ギリギリで接触。
だが、噛みつきは浅い。
「……足りねぇか」
その瞬間。
アークアイの中心が光る。
「……まずい!」
未来視。
“全方向”。
「……全方位かよ!」
回避は無理。
「……土!」
地面を隆起。
即席の壁を作る。
——ドォンッ!!
爆発。
衝撃が全身を揺らす。
「……っ!」
壁が砕ける。
だが、直撃は避けた。
「……危ねぇな」
だが、その時。
「……まだ来る!」
追加の光弾。
回避が遅れる。
——ドンッ!!
直撃。
体が吹き飛ぶ。
「……ぐっ……!」
地面を転がる。
視界が揺れる。
「……油断した」
確実に勝てると思っていた。
だが——
「……まだ格上だな」
立ち上がる。
痛みはある。
だが動ける。
ガルが前に出る。
時間を稼いでいる。
「……助かる」
呼吸を整える。
「次で決める。削り合いはもうやめだ」
火力で押し負けるなら、やることは一つ。
「一点突破で核を叩く」
四大属性。
全部使う。
「……火」
「……風」
「……水」
重ねる。
「……圧を上げる」
「……土」
地面を踏みしめる。
体を固定。
「……行くぞ」
ガルが飛び込む。
「……今だ!」
その瞬間。
すべてを叩き込む。
——ボォォォッ!!
——シュンッ!!
——ドンッ!!
重なる衝撃。
アークアイが大きく揺らぐ。
「……見えた」
中心核。
「……終わりだ」
踏み込み。
全力。
「——斬る!」
剣を叩き込む。
——パリンッ!!
核が砕ける。
巨大な目が崩壊する。
静寂。
「……っ、はぁ……」
息が焼けるみたいに熱い。
それでも、崩れた巨眼の光はもう戻らない。
「……勝った。いや、勝ち方を一段上げた」
ウィンドウが開く。
【討伐】
上層中ボスを撃破しました
【報酬】
・スキル書:魔力制御Lv3
・特殊素材:空間核
・大量経験値
【レベルアップ】
Lv21 → Lv24
攻撃力:198 → 230
防御力:118 → 135
【武器成長】
天羽々斬 Lv19 → Lv22
攻撃力+155 → +190
「……一気に来たな」
ガルを見る。
無事だ。
「……いい動きだった」
ガルが静かに鳴く。
視線を奥へ。
マップ。
さらに奥。
“上層最深部”。
「……次が、ラストだな」




