表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第1章「最難関ダンジョンの孤独な開拓者」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/113

第19話「中層の主」

 中層最奥へ進むにつれて、敵の気配が逆に薄れていった。

 逃げているというより、中央へ寄せられているみたいだった。雑魚すら近づけない場所が前にある、そんな感覚だけがじわじわ強くなる。


 広い空間に出る。

 床も壁も黒ずんでいて、中央だけが妙に空いていた。


 そこにいたのは、巨大な黒鎧の騎士だった。


 【黒鎧騎士 Lv1200】


 ・特性:魔力装甲/再生(微)

 ・弱点:未解析 → コア依存


 「……格上だな」


 言った瞬間には、もう来ていた。

 最初の一撃は見えないくらい速かった。

 慌てて剣を合わせても、衝撃で腕が痺れる。まともに受けたら潰される。

 ただ硬いだけじゃない。速さまで別格だった。

 見えなかった、で済ませたくない。

 目で追う前に懐へ入られていた感じが、腹立たしいくらい嫌だった。


 正面から削るのも無理。

 最初の数合で、それは嫌というほど分かった。

 斬っても浅い。火を入れても表面が揺れるだけ。しかも微弱とはいえ再生まである。

 通った感触がほとんど残らない。

 こっちだけが削れていく感じがして、落ち着かなかった。


 「どうなってんだよ」


 舌打ちしたくなるのを抑えながら、詳細鑑定を重ねる。

 見る。避ける。見る。避ける。

 それを繰り返すうちに、装甲の理屈が少しずつ見えてきた。


 一定以上の衝撃を、連続で重ねる。

 そうして外殻を剥がし、その内側のコアを叩く。

 正面突破じゃない。段階を踏ませる相手だ。


 「面倒すぎるだろ」


 でも、やるしかない。


 火で削る。

 水で押す。

 土で止める。

 風で裂く。

 四属性を順番に重ねるたび、黒鎧の表面にわずかな歪みが出る。

 一回では足りない。二回でも足りない。何度も同じように積んで、ようやく鎧にヒビが入った。

 通っているのかどうか分からない時間が長い。

 それでも、止めるほうが嫌だった。


 その間に何度も吹き飛ばされた。

 腕は痛いし、呼吸も荒い。ガルも正面からの圧に押されている。

 それでも、ヒビが入った瞬間だけは、はっきり希望が見えた。

 ほんの少しなのに、その線だけやけに明るく見える。


 「通れ」


 次で決めるしかない。

 そう思ったタイミングで、ガルが黒鎧の腕へ食らいついた。

 一瞬だけ動きが止まる。


 その一瞬に賭ける。


 露出した赤い核へ、天羽々斬を叩き込む。

 硬い感触のあと、内側から割れる音がした。


 砕けた瞬間、黒鎧は一気に崩れた。


 【討伐】


 中層ボス撃破


 【報酬】


 ・職業進化権

 ・スキル進化権

 ・中層制覇ボーナス


 「……報酬まで重いな」


 息は上がっているのに、気分だけは妙に静かだった。

 勝った実感が薄いというより、まだこの先がある感じのほうが強い。

 中層まで来た。

 たぶん、今までとはまた違う場所へ進める。

 そう思っても、不思議と達成感だけでは終わらなかった。

 静かなのに、まだ奥がある感じだけが抜けない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ