第17話「風と土」
中層をさらに進むにつれて、空気が変わっていくのを感じた。
これまでのような単純な敵の配置ではない。
“何かを守っているような配置”に変わってきている。
「……来るな」
マップに反応。
・大型個体:接近中
・随伴:複数
「……新しいタイプか」
ガルが低く唸る。
警戒の度合いが一段上がっている。
やがて、闇の中から現れたのは——
巨大な影。
四足。
分厚い装甲。
「……イノシシ?」
詳細鑑定。
【アーマーボア】
Lv688
・HP:9820
・攻撃力:1450
・防御力:1800
・特性:突進特化/防御特化
・弱点:側面・足関節
その後ろに、シャドウが二体。
「……硬い+速い+混成か」
状況は最悪に近い。
「……でも」
剣を握る。
「……やるしかねぇな」
アーマーボアが地面を蹴る。
——ドンッ!!
突進。
直線。
速い。
「……真正面は無理だ」
横へ回避。
だが、地面が抉れる。
「……パワーもやばいな」
すぐに次の動き。
シャドウが回り込む。
「……同時かよ」
ガルが一体を引き受ける。
「……助かる」
残り一体が迫る。
「……火!」
炎を放つ。
——ボッ!!
揺らぐ。
だが——
アーマーボアが再突進。
「……タイミング悪い!」
回避が遅れる。
——ドゴッ!!
体が吹き飛ぶ。
地面を転がる。
「……ぐっ……!」
息が詰まる。
視界が揺れる。
「……防御、固すぎだろ」
正面からは削れない。
「……なら」
立ち上がる。
「……土だ」
イメージ。
重さ。
固定。
「……止めろ」
地面に手をつく。
——ゴゴッ!!
土が隆起する。
ボアの進路を塞ぐ。
「……いける」
ボアがぶつかる。
一瞬、止まる。
「……今だ!」
ガルが動く。
側面へ回り込む。
「合わせる!」
俺も回り込む。
足関節。
そこが弱点。
「……そこだ」
斬撃。
——ガキンッ!!
「……浅い!」
だが、確実にダメージは入っている。
ボアが暴れる。
「……次で決める」
その瞬間。
シャドウが迫る。
「……邪魔だ!」
今度は——
「……風!」
イメージ。
切る。
流す。
手を振る。
——シュンッ!!
風の刃が走る。
シャドウに直撃。
体が裂ける。
「……強いな」
一撃で消滅。
「……これなら」
視線を戻す。
ボア。
「……終わらせる」
ガルが噛みつく。
動きを止める。
「……今だ」
全力。
集中。
足へ、連続で斬り込む。
——バキッ!!
関節が崩れる。
バランスが崩れる。
「……倒れる!」
その瞬間。
「——決める」
首元へ踏み込み。
全力の一撃。
——ガシャァッ!!
巨大な体が崩れ落ちる。
静寂。
「……はぁ……」
息が荒い。
だが——
「……勝った」
ウィンドウが開く。
【撃破】
アーマーボアを討伐しました
【レベルアップ】
Lv14 → Lv17
攻撃力:128 → 158
防御力:72 → 92
【武器成長】
天羽々斬 Lv12 → Lv15
攻撃力+82 → +110
「……一気に上がったな」
ガルを見る。
無事だ。
「……よくやった」
ガルが小さく鳴く。
その時。
【ドロップ】
・スキル書:身体強化Lv2
・重装甲の核
・高濃度魔石(大)
「……当たりだな」
視線を奥へ。
マップ。
まだ続いている。
「……ここ、底が見えないな」
だが——
笑う。
「……だからいい」




