第15話「中層」
スケルトンナイトを二体倒したことで、空気が変わった。
さっきまで感じていた圧が、明らかに薄い。
だがそれは、“安全になった”という意味ではない。
「……次の段階ってことか」
マップを開く。
【現在地:中層手前 → 中層】
境界を越えている。
つまり——
「……ここからは、別物だな」
ガルもそれを理解しているのか、耳を立てて周囲を警戒している。
ゆっくりと進む。
これまでよりも、足音を意識する。
視線も、より広く。
——ザザッ……。
「……ん?」
これまでと違う音。
骨の擦れる音ではない。
視線を向ける。
そこにいたのは——
黒い影。
人型だが、骨ではない。
「……なんだ、あれ」
詳細鑑定を発動する。
【シャドウ】
Lv512
・HP:不定(物理減衰)
・攻撃力:980
・特性:実体不安定(物理攻撃半減)
・弱点:魔力/属性
「……物理効かない系か」
面倒なタイプ。
だが——
「……対策はある」
四大属性オーブ。
まだ使っていない。
「……試すか」
意識を向ける。
オーブが淡く光る。
頭の中に、感覚が流れ込む。
火。
水。
土。
風。
「……とりあえず、火だな」
手を前に出す。
「……イメージ」
燃やす。
焼き尽くす。
「……出ろ」
掌に、火が灯る。
「……おお」
だが、見ている暇はない。
シャドウが動く。
——スッ。
音もなく距離を詰めてくる。
「……速いな」
横へ回避。
すれ違いざまに——
「——当たれ!」
火を放つ。
——ボッ!!
シャドウに直撃。
「……効いてる」
体が揺らぐ。
形が崩れる。
「……ガル、任せる」
ガルが飛び込む。
——ガウッ!!
噛みつき。
通常なら効かない。
だが——
「……今なら通る」
火で弱体化している。
その隙に、踏み込む。
「……終わりだ」
首元へ斬撃。
——シュッ。
手応えは軽い。
だが——
シャドウの体が、崩れる。
消滅。
【撃破】
「……なるほどな」
理解した。
「……敵の種類、増えてる」
これまでの単純な相手とは違う。
対策が必要。
「……でも」
笑みが浮かぶ。
「……面白くなってきた」
そのまま進む。
次に現れたのは——
シャドウ、二体。
さらに後方に、スケルトンナイト。
「……混成か」
ガルが唸る。
「……いいな」
剣を構える。
「……全部倒す」
情報。
技術。
連携。
そして——
新しい力。
すべてを使う。
「……行くぞ」




