第14話「二対一」
スケルトンナイトが、二体。
並んでいるわけではない。
わずかに間隔を取り、互いに干渉しない位置に立っている。
「……連携、してくるタイプか」
詳細鑑定を走らせる。
【スケルトンナイトA】
行動傾向:前衛型/重撃主体
【スケルトンナイトB】
行動傾向:後衛型/刺突・追撃主体
「……役割分担してるな」
ガルが低く唸る。
明らかに、さっきまでの戦闘とは空気が違う。
「……ガル、Aを引きつけろ」
「俺がBを落とす」
短く指示を出す。
ガルが理解したように、前へ出る。
「……行くぞ」
同時に動く。
ガルがAへ突っ込む。
ナイトAがそれに反応し、剣を振り上げる。
——ズンッ!!
重い一撃。
だが、その間に——
「こっちだ」
俺はBへ。
ナイトBが、静かに構える。
そして——
——シュンッ!!
「……速っ!」
突き。
明らかにAとは違う速度。
ギリギリで身体を捻る。
頬を掠める。
「……こいつ、速さ特化か」
距離を詰める。
だが、踏み込みの瞬間——
また突き。
「……くっ!」
無理に攻めると刺される。
「……一旦、見る」
呼吸を整える。
視線を外さない。
ナイトBの動き。
突きの癖。
踏み込みのタイミング。
「……読めるか」
一度、わざと前に出る。
——シュンッ!!
来た。
「……ここだ」
最小限の回避。
突きを“流す”。
そのまま踏み込む。
「遅い」
剣を振り上げる。
だが——
ナイトBが、わずかに後退する。
「……読まれてる?」
その瞬間。
背後から、重い気配。
「……ガル!」
振り返る。
ナイトA。
すでに距離を詰めていた。
——ズンッ!!
振り下ろし。
「ぐっ……!」
避けきれず、衝撃を受ける。
体が弾かれる。
「……二対一って、こうなるか」
ガルがAを引き戻す。
だが、完全には止めきれていない。
「……まずいな」
このままだと削られる。
「……なら」
選択を変える。
「先にAを落とす。あっちが連携の軸だ」
耐久が低いのはB。
だが、動きが速くて削りにくい。
「速いBは当てにくい。なら重いAから折る」
ガルを見る。
「……一瞬だけ、止められるか」
ガルが低く唸る。
「……頼む」
動く。
ナイトAへ突っ込む。
——ズンッ!!
振り下ろし。
「遅い!」
回避。
踏み込み。
だが、その瞬間。
——シュンッ!!
Bの突きが来る。
「……分かってる」
身体をひねる。
完全には避けきれない。
——ザッ!
脇腹を浅く刺される。
「浅い、問題ない。この距離に入れたなら勝ちだ」
止まらない。
そのまま、Aの懐へ。
「——ガル!!」
ガルが飛び込む。
腕に噛みつく。
ナイトAの動きが止まる。
「……今だ」
全力。
迷いなし。
首の隙間へ、叩き込む。
——バキィッ!!
ナイトA、撃破。
「……一体」
だが——
すぐにBが来る。
「……速いな」
だが、もう見えている。
「……同じだ」
突き。
回避。
今度は完全に流す。
踏み込む。
「終わりだ」
首へ一閃。
——ガシャッ!!
ナイトB、撃破。
静寂。
「……はぁ……」
その場に膝をつく。
「……ギリだな」
だが——
ウィンドウが開く。
【大量経験値を獲得】
【レベルアップ】
Lv9 → Lv12
攻撃力:80 → 105
防御力:46 → 60
【武器成長】
天羽々斬 Lv8 → Lv10
攻撃力+48 → +65
「……一気に来たな」
ガルを見る。
少し傷はあるが、問題ない。
「……助かった」
ガルが小さく鳴く。
周囲を見る。
敵の気配はない。
「……これで、次の段階だな」
マップを見る。
中層。
まだ先がある。
「……行けるな」
確信が変わった。
「……俺、強くなってる」




