第10話「鑑定進化」
自宅へ戻った俺は、そのままソファに倒れ込んだ。
全身に残る疲労と、戦闘の余韻がまだ抜けない。
「……はぁ……マジで死ぬかと思ったな」
だが、その危機の中で得たものは大きい。
レベルは上がり、武器も成長した。
そして——
【条件達成】
スキル〈鑑定〉が進化可能です
「……これだよな」
意識を向けると、ウィンドウが展開される。
【鑑定 進化選択】
① 広域鑑定
→ 周囲一定範囲の敵・罠・資源を一括把握
② 詳細鑑定
→ ステータス・スキル・弱点・ドロップ情報を完全表示
「……どっちも強いな」
少し考える。
広域は安全性が上がる。
だが——
「……今欲しいのは、勝つための情報だ」
「②、詳細鑑定」
【進化完了】
〈鑑定〉→〈詳細鑑定〉
その瞬間、頭の中に大量の情報が流れ込んできた。
敵の構造、動きの癖、弱点の位置。
今までぼんやり見えていたものが、はっきりと輪郭を持つ。
「……これ、ヤバいな」
試しに、ガルを見る。
【ガル】
Lv570
弱点:腹部(防御低)
好物:骨系素材
連携適性:高(挟撃時ダメージ補正+15%)
「……そこまで分かるのかよ」
ガルが不満そうに鼻を鳴らす。
「いや、別に弱点突くつもりはねぇって」
だが、この情報量は圧倒的だ。
「……これがあれば、戦い方が変わる」
次に、自分の武器を見る。
【天羽々斬】
Lv3
・攻撃力+14
・成長適性:高
・次解放条件:累計討伐数50体
「……条件付きか」
つまり、ただ戦うだけじゃなく、数をこなす必要がある。
「……やることは決まったな」
ベッドに倒れ込む。
疲労はまだ抜けていない。
だが、頭は冴えている。
「……次は、あのナイトだ」
今日の戦闘で分かった。
今のままじゃ勝てない。
だが——
「……情報があれば、話は別だ」
詳細鑑定。
これがあれば、あの化け物にも対抗できる可能性がある。
「……明日、もう一回行く」
ガルが静かに伏せる。
まるで、それに同意するかのように。
「……絶対に、殺られる前に殺る」
意識がゆっくりと沈んでいく。
その直前——
【称号効果発動】
〈固有マスター級ダンジョン初〉
ダンジョン構造の一部情報を解放
「……は……?」
最後に見えたのは——
ダンジョン内部の“簡易マップ”だった。
——この時、俺はまだ知らない。
このダンジョンが、単なる強敵の巣ではないことを。




