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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第7章「終域」

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第101話「選択」

 『同化/否定』


 静寂。


 何もない空間。


 ただ、“それ”だけが待っている。


 「……なるほどな」


 ゆっくり息を吐く。


 ここまで来た。


 「……で」


 視線を向ける。


 「……それだけか」


 “それ”は何も言わない。

 肯定も否定もせず、ただ選択を待っている。

 「……同化すれば」


 すべてを内包する側へ行く。


 完全な存在。


 もう迷いも衝突もなく、ただ大きなひとつになる道。


 「……否定すれば」


 今の自分のまま、外に立ち続ける。

 だが、それも結局は用意された反対側でしかない。


 「……どっちも違うな」


 静かに言う。


 「……俺は」


 一歩、踏み出す。


 “それ”へ向かって。


 『……選択確認』


 「……選ぶ」


 剣を構える。


 だが、振りかぶることはしない。


 「……壊す」


 その瞬間、“それ”が初めて揺れた。


 『……異常』


 初めて、向こう側の静けさにひびが入る。


 「……枠ごとだ」


 「……いらねぇな」


 踏み込む。


 「——斬る!」


 何もない。


 音もない。


 衝撃もない。


 だが——。


 “それ”に、確かにひびが入った。


 『……不可能』


 「……可能だ」


 もう一度。


 迷いなく。


 「——斬る!」


 ——パキン。


 小さな音だった。


 けれど、それは今まで壊してきたどんな強敵よりも決定的だった。

 “それ”が崩れる。


 選択。


 押しつけられた答え。


 同化か否定か。


 その二択ごと、音もなく砕けていく。


 静寂。


 完全な沈黙。


 そして——。


 世界が戻った。


 「……戻ったか」


 基地の屋上。


 神崎とレオンがいる。

 神崎が固まったまま口を開いた。


 「……おい。今の、なんだ」


 レオンは静かに在真を見る。


 「……変わったな」


 「……ああ」


 短く返す。


 だが、次の言葉は自然に出た。


 「……変わってねぇ」


 視線を空へ向ける。


 「……終わりか」


 少しだけ考える。


 そして——。


 「……いや」


 小さく笑う。


 「……ここからだな」

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