表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第7章「終域」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/113

第100話「頂の先」

 「……まだあるな」


 視線の先には何もない。

 少なくとも、目で見える形では。


 だが——。


 「……ある」


 確実に。


 “その先”だけが、静かに口を開けている。

 「……行く」


 踏み出す。


 迷いはない。


 次の瞬間、世界が消えた。


 空間が消える。


 時間が消える。


 「……っ」


 何もない。


 音も。


 色も。


 距離も。


 完全な“終”。


 「……ここか」


 立っている感覚すら曖昧になる。

 自分が前を向いているのかどうかさえ、判断の基準が薄い。


 それでも——。


 「……問題ねぇ」


 存在だけで立つ。


 それで足りる。


 静寂。


 何も起きない時間が流れる。

 いや、時間もないから“流れる”という表現すら正しくないのかもしれない。


 「……来ねぇな」


 そう呟いた時、初めて“気配”が生まれた。


 「……来たな」


 前方。


 何もないはずの場所に、確かに“いる”。

 次の瞬間、“それ”が現れた。


 形はない。


 輪郭もない。


 だが、今まで見てきたどんな存在よりも、曖昧さの質が違う。


 「……違うな」


 圧がない。


 威圧もない。


 存在感すら薄い。


 それなのに——。


 「……全部ある」


 すべてを内包しているとしか思えない。

 “それ”がこちらを見る。

 その瞬間、あらゆるものが止まった。


 思考も。


 感覚も。


 存在の振動さえ凍りつく。


 『到達確認』


 直接、流れ込む。


 「……ああ」


 短く返す。


 “それ”が続ける。


 『最終判定』


 静寂。


 「……いい」


 少しだけ笑う。


 「……これで終わりか」


 剣を構える。


 だが、そこで違和感に気づく。


 動かない。


 いや、動く必要が見つからない。


 「……必要ねぇな」


 「……選択か」


 “それ”が言う。


 『同化/否定』


 選べ。


 そういうことだ。


 「……なるほどな」


 少し考える。


 ここまで、戦い続けてきた。


 上へ。


 さらに上へ。


 誰かに決められた枠を壊して、そのたびにまた次の枠とぶつかってきた。


 「……で」


 顔を上げる。


 「……その先か」


 “それ”は何も言わない。

 ただ、待っている。

 こちらがどちらかを選ぶのを、当然のように。


 「……いいな」


 少しだけ笑う。


 「……選ぶ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ