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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第6章「上位存在」

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第98話「統合」

 「……届く」


 群を無視して、一直線に踏み込む。

 もう迷いはなかった。


 中枢。


 他より濃く、他より重い場所。


 「あれが本体だ」


 そう確信した瞬間、“それら”の動きがわずかに止まった。

 反応したのだと分かる。


 神崎が息を呑む。


 「マジかよ……ほんとにいたのか」


 レオンの声が鋭くなる。


 「……来る。気を抜くな」


 中枢が動いた。


 それだけで、空間が歪む。

 時間の流れが一瞬で崩れ、存在の輪郭が引き伸ばされるような圧が降ってきた。


 「……重いな」


 「……全部上だ」


 だが——。


 「……寒いな」


 むしろ、ようやく芯に届いた気がした。


 踏み込む。


 「——斬る!」


 ——ガキィィンッ!!


 激突。


 重い。


 さっきまでとは比べものにならない。


 「……固ぇ」


 刃が通らないわけじゃない。

 ただ、削るための理屈そのものを押し返される。


 「……違うな」


 「……これ」


 中心でありながら、単独では閉じていない。


 「……集合だ」


 “それ”が反応する。


 『統合存在』


 言葉ではない情報が、直接流れ込んだ。


 「……だろうな」


 笑う。


 「……全部一つか」


 なら話はさらに単純だ。


 「……飲まれなきゃいい」


 間を空けず、連続で踏み込む。


 ——ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ!!


 重ねる。


 何度も。


 だが、押し返される。


 「……重いな」


 斬るたびに、逆にこちらの輪郭が削られるような感覚があった。

 受け止めているだけで持っていかれる。

 その瞬間、中枢が変形した。


 「……来るぞ」


 空間が一点へ収束しはじめる。

 周囲の“それら”も巻き込んで、中心へ中心へと寄っていく。


 「……吸い込まれるな」


 神崎が怒鳴る。


 「ふざけんな、飲まれるぞ!」


 だが——。


 「……好都合だ」


 距離が縮まる。


 バラけていた外殻が寄るせいで、中心の奥がわずかに見えた。


 「……近い」


 中枢の奥。

 何重にも守られていた場所が、一瞬だけむき出しになる。


 「あれだ」

 壊すというより、あそこへ自分を通せばいい。

 統合に飲まれないまま、一つのままで立つ。


 踏み込む。


 その直前、統合存在が“崩れた”。


 「……は?」


 分離。


 再び複数へ。


 だが、おかしい。


 今度は散っていない。

 全部が同時に存在し、全部が同時にこちらへ殺到してくる。


 「……違うな」


 神崎が叫ぶ。


 「無理ゲーだろこれ!」


 レオンの眉間にも、さすがに険しさが走る。


 「……中心を隠すために、全体へ散った。厄介だな」


 「……いや」


 首を振る。


 「……一つだ」


 全部同じ流れに乗っている。

 全部別物に見せているだけで、やっていることは変わらない。


 「……重ねてるだけだ」


 「……なら、分ける」


 笑う。


 「……面倒だな」


 剣を構える。

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