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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第6章「上位存在」

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第99話「全一」

 「……簡単だ」


 踏み込む。


 「……流れは一つだ」


 視線を固定する。


 重なり。


 ズレ。


 層。


 複数に見えるそれぞれの奥に、同じ芯が通っている。


 「……見える」


 「……同時に来る」


 剣を構える。


 深く息を吸う。


 「……一回でいい」


 その瞬間、統合存在が動いた。


 全方向。


 同時。


 空間が裂け、時間が軋み、存在を削る圧が四方八方から噛みついてくる。


 「……来るぞ」


 神崎が歯を食いしばる。

 レオンも無言で気配を張る。

 だが、在真は前へ出た。


 「……まとめて来るな」


 避けるつもりはない。


 「……関係ねぇ」


 踏み込む。


 足元も空間も曖昧なまま、それでも自分の領域だけははっきりと足場になる。


 「……流れごとまとめる」


 意識を集中する。


 幸運。


 領域。


 干渉。


 ここまで積み上げたものを、もう使い分ける必要はなかった。


 「……重ねる」


 空間が揺れる。


 世界が歪む。


 それでも、その歪みの中心で一つだけぶれない点がある。


 「……ここだ」


 全ての層が重なる一点。

 そこへ向けて、迷いなく振り抜く。


 「——斬る!」


 ——バキィィィィィィィッ!!!


 完全な衝突だった。


 すべてが止まる。


 「……入った」


 その感触だけが、はっきり残った。

 統合存在が“崩れる”。


 分離も。


 統合も。


 さっきまで厄介だった構造そのものが、まとめて裂けていく。


 「……これで通る」


 静かに言う。


 そのまま、すべてが消えた。


 完全に。


 沈黙。


 何も残らない、乾いた静寂だけが広がる。

 やがて、ウィンドウが開いた。


 【存在階位更新】


 【最上位存在認定】


 【干渉制限:解除】


 【領域支配:完全】


 「……上がったな」


 軽く呟く。


 その瞬間、視界がまた広がる。


 世界。


 その外。


 さらに外。


 「……全部見える」


 完全に。


 遠さも近さも関係なく、境界の向こうがただそこにある。


 「……いいな」


 少しだけ笑う。


 だが、それで終わりじゃない。


 さらに上。


 「……まだあるな」


 今までと違う領域が、静かに口を開いている。

 そこには敵意も圧もない。

 ただ、最後に残された何かがあると分かるだけだった。


 「……最後か」


 剣を構える。


 ここまで来たなら、見届けるしかない。

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