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現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第6章「上位存在」

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第95話「本質」

 「……ここからだ」


 “それ”が変わる。


 形。


 今まで曖昧だったものが、ゆっくり固定されていく。


 輪郭。


 構造。


 「……固定されるな」


 「……人型か」


 神崎が息を詰める。

 だが、在真はすぐに違和感へ気づく。


 「……違うな」


 密度が違う。

 神崎が低く漏らす。


 「……これ、さっきまでのと別物だぞ」


 レオンが短く言った。


 「……本来形態だ」


 「……なるほどな」


 在真は笑う。


 「……やっとか」


 “それ”がこちらを見る。


 『本質解放』


 その瞬間、空間が消えた。


 時間も消える。


 「……っ」


 完全な“無”。


 さっきまでいた層すら、足場として残っていない。

 立っている感じだけを、自分で掴んでいないと、そのままほどけそうだった。

 息を吸ったつもりなのに、胸に何も入ってこない。

 脚を踏ん張っているはずなのに、その感覚が薄い。


 だが——。


 「……問題ねぇ」


 存在だけで立つ。


 「……ここでも動ける」


 踏み込む。


 距離がない。


 位置も曖昧だ。


 それでも、斬りに行く意志だけは真っ直ぐ通る。

 自分の体より先に、そっちへ向かう感じだけが残っている。

 体がついてきているのか、自分だけ先に出ているのかもよく分からない。

 それでも止まるほうが鬱陶しかった。


 「……関係ねぇ」


 「——斬る!」


 ——ガキィィィンッ!!


 完全な衝突。


 今までよりも、はっきり重い。


 「……重いな」


 笑う。


 「……やっと戦いになる」


 “それ”が動く。


 速い。


 だが——。


 「……見える」


 回避。


 同時に斬り返す。


 「——斬る!」


 ——バキィッ!!


 削れる。


 今までより明確に。


 「……通るな」


 “それ”が初めて大きく揺れた。


 『……同等判定進行』


 「……遅ぇな」


 笑う。


 「……もう超えてる」


 踏み込む。


 連続。


 「……全部重ねる」


 ——ガキンッ、バキッ、ドンッ!!


 削る。


 押す。


 崩す。


 “それ”の本質へ届くたび、この場所の静けさが薄く揺れた。


 剣を構える。


 最後の距離。


 ここで決まる。

 ここで通せなければ、また何かを削られる。

 そういう嫌さだけは、妙にはっきりしていた。

 何を落とすのかは分からない。

 でも、次はもう戻ってこない気がした。


 「……ここで決める」


 “それ”も動く。


 全力。


 完全な衝突。


 「——斬る!」


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