表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実世界にダンジョンが現れたが、俺は誰にも従わない  作者: HATENA 
第6章「上位存在」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/113

第94話「侵食」

 「……全部来い」


 踏み込む。


 “それ”の圧が上がる。


 空間が歪む。


 時間がズレる。


 存在が薄れる。

 輪郭の端から、自分の形だけ先にこぼれていく。

 腕を上げたつもりなのに、感覚だけが少し遅れて戻ってくる。

 握っているはずの剣の重さも、一瞬だけ遠い。


 「……来るぞ」


 何も見えない。


 だが——。


 「……分かる」


 回避。


 ——遅れて衝撃。


 それだけじゃない。

 在真の腕の輪郭が、わずかに薄くなっていた。

 見えているのに、そこに自分の腕がある実感だけが遅れる。

 指を動かす。

 動く。

 だが、自分のものだと感じるまでに変な間があった。


 「……削られてるな」


 「……これか」


 「……存在ごと削る」


 神崎が叫ぶ。


 「おい! それヤバいぞ!」


 レオンが低く言った。


 「……侵食だ」


 「……なるほどな」


 在真は笑う。


 「……気味悪いな」


 踏み込む。


 「……削るなら」


 剣を構える。


 「……こっちもだ」


 斬る。


 「——斬る!」


 ——ガキンッ!!


 衝突。


 今度は違う。


 在真の刃が、“それ”の側の輪郭をわずかに削っていた。


 「……削れてるな」


 “それ”の一部が、薄く消える。


 『侵食確認』


 「……そうだ」


 笑う。


 「……なら通る」


 「……なら」


 踏み込む。


 「……速さ上げる」


 連続。


 呼吸も、未来視も、領域も、全部を一段上げる。


 「……重ねる」


 ——ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ!!


 “それ”が揺れる。

 だが、次の瞬間、空間が閉じた。


 「……っ」


 動けない。


 見えない檻じゃない。

 前へ出るという結果だけを、途中で固定された感覚だった。

 足を出したつもりなのに、踏み込んだ先だけが消えている。

 体は前へ行こうとしているのに、結果だけがそこへ届かない。


 「……固定か」


 そのまま、存在が削られる。

 痛みというより、自分の端から順番に欠けていく寒気だった。

 指先から先に、自分じゃないものへ変えられていくみたいで嫌だった。


 「……来るな」


 だが——。


 「……遅い」


 無理やり動く。


 閉じた空間を、領域で押し割る。


 「——斬る!」


 ——バキィッ!!


 今度は大きく入った。


 「……入ったな」


 “それ”が初めてはっきり揺れる。


 『……異常』


 静寂。


 在真は笑う。


 「……効いてるな」


 「……効いてる」


 その瞬間、“それ”の気配がさらに変わった。

 神崎が顔をしかめる。


 「これ終わり見えねぇぞ!」


 レオンは首を横に振る。


 「……違う」


 「……変わる」


 “それ”が形を変える。

 今までより明確に。

 曖昧に重なっていたものが、ひとつの在り方へ収束し始める。

 空気の噛みつき方が変わる。

 次はもっと近いところから来る。

 そう分かるより先に、肌が嫌がった。


 「……出るな」


 次の段階。


 「……まだあるか」


 剣を構える。


 「……ここからだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ