教官たちとの再会
一方、北軍ザグラブのミューユは、ヅヤマから下道をずっと通って、キビチューオーチョー経由で、ナカショーに到着していた。
戦争、とは言えどあくまでオキャーマ内部での争い、しかも具体的にはビゼン地方とミマサカ地方との戦いである。戦闘状態にもグラデーションがあるのだ。ヅヤマとオキャーマシティとは戦意を剥き出しに戦っていても、オキャーマ北西部のキビチューオーチョーの辺りでは大した戦闘も無かった。タカハシ、イバラ、ソージャの辺りも比較的静かである。だからミューユも、西側、ビッチュー地方からの迂回ルートなら簡単にナカショーまで行くことができた。
ミューユが長い車での移動からドアを出て、ナカショーの地を踏むと、そこにはミューユのザグラブ研修時代の教官、ユキ・カツラギ曹長が待ち構えていた。年の頃なら40半ば、カールした長い赤毛の、ワイルドな風貌のおばさん、いや女性の古参兵士である。
もう一人、シオリ・ジャンパー軍曹も一緒にミューユを待っていた。30絡みの小太りな女性で、おかっぱ頭が印象的である。彼女もミューユのザグラブ研修生時代の教官であった。二人とも鬼教官でザグラブ研修生だったミューユのこともビシバシとしごいていたが、今は二人ともが直立不動の姿勢でミューユを待っていた。
「タカオ少尉、お待ちしておりました!」
「カツラギ教官にジャンパー教官まで!こんなところにおいでだったんですか?」
「教官は止して下さい。今はタカオ少尉の方が階級が上であります」
「いや、そんなこと急に言われても、私にとっては教官は教官です」
「そうおっしゃっていただけること、今回の作戦でご一緒させていただけること、私一生の光栄です!」
「まあそう言っていただけるのは私も嬉しいですが……。来たばかりですが、私もこの作戦、ちとわからない部分もあるのでまずは、作戦のブリーフィングをやりませんか?」
「もちろんですとも、タカオ少尉!」
自分が思っていたよりも教官たちの愛想が良く、ミューユは「星のひとつで王様奴隷。これが軍隊ってやつか……」とほんのちょっとだけ思えた一瞬であった。




