ミューユの嘆息
同じ頃、北軍ザグラブ総司令官、ジョー・ナカギリ特務少将の執務室には、ザグラブ7神将の一人、ミューユ・タカオ少尉が呼ばれていた。
執務室にはアンティークの机が置かれ、いまどき紙の本がうず高く積まれている。これらは全てナカギリ特務少将の私物である。
「タカオ少尉」
ナカギリ特務少将は軍人に似つかわしくないボサボサの長髪に制帽をちょこんと乗せ、オシャレ髭を生やして軍服を着崩している。面長で飄々とした感じのナカギリ特務少将は、色白な少女に声を掛けた。
少女は色が抜けるように白く、目も大きな美少女であったが、顎の骨格が張っていて、それが彼女の意志の強さを示しているようであった。
「タカオ少尉、ザグラブ7神将に加入して、確か三ヶ月目だったよね?」
「そうですが……。」
「まだ手柄らしい手柄も立ててないよね?」
「ですが、チャンスさえあれば!」
「そのチャンスのお話なんだけど、ちょっとオキャーマ南部まで、ピクニックに行ってきてくれないかな?」
「オキャーマ南部?決死隊ですか?」
「そうじゃあないんだけど、ちょっとアサルトアーマーで南軍と遊んで来て、手柄を立てて来て欲しいのよ。もうお膳立てはキッチリ出来ている。タカオ少尉はここで華々しく手柄を立てて来て、ヅヤマシティーに凱旋して欲しい。それが何よりもザグラブの宣伝になるんだ」
「それでは、いよいよスノーホワイトの実戦投入ですか?」
「いや、今回はスノーホワイトじゃなくて、ポカホンタスを使う」
「ポカホンタス!?」
ミューユの表情が曇る。
「お言葉ですが、ポカホンタスはFX100互換機、ひと世代前の旧型機ですよ?」
「いいんだよ、スノーホワイトは我が軍の切り札だ。南軍の支配地域に置いて帰る訳にはいかない」
「……もっと詳しい作戦の説明をお願いします」
「勿論さ」
ナカギリ少将が自信ありげに呟くと、二人の打ち合わせは深夜にまで及んだ。




