弱い犬ほどよく吠える
「それで?君たち、$-Duty隊に報復がしたいと?」
ナカギリ特務少将は執務室でザグラブ七神将と向き合っていた。
「はい、この屈辱は、必ず晴らします!」
ナカギリ特務少将はその声を聞くと、深くため息をついた。
「君たちの提案には、三つの理由から反対する。まず一つ目、君たちは最初の交戦で$-Duty隊に迫りながらも、一機も撃墜することなく相手をまんまと逃がしている。そして今度は四人にペイント弾だ。ここから推測できることは、$-Duty隊の実力は君たちと同等か、あるいは上だ。ザグラブ七神将は北軍の広報も兼ねている。わざわざ負ける戦いをさせるわけにいかない」
「そんな!」
「二つ目。一つ目とも関連するが、ザグラブ七神将は北軍の象徴でもあり、「因子」を持つ選ばれし者だ。君たちの生命はそこらの傭兵なんかよりずっと重い。連中と勝負することは我々にとってコストが見合わない」
「三つ目。$-Duty隊が本当に「因子」を持つ君たちと互角に戦えるのならば、南軍も我々が集めている「因子」の存在に気がついて、彼らも「因子」を持っている可能性がある。殺すよりは生け捕りにするだとか、調略して仲間にするだとかした方が賢明だ」
「我々は、ザグラブ七神将は、$-Duty隊に勝てないんでしょうか?」
「あのねえ、さっきまでの人の話を聞いていたのかい?でも、君たちとしてもやられっぱなしではいられないという感情は分かってる」
ナカギリ特務少将は、宇宙に浮かぶ人工衛星の写真を取り出してザグラブ七神将たちに見せた。
「君たちは先日頑張ってロケットを発射させたけど、そのロケットに載っていたのはこの軍事衛星『ホクテン』。この衛星はヅヤマシティの防衛のために打ち上げられたもので、北部連合の勢力範囲、という制限はあるものの、宇宙から高出力のレーザーを三回撃てる仕様になっていて、そのうち一回の使用権を我々ザグラブが手に入れた。あらかじめ任意の位置にターゲットを置いておけば、アサルトアーマーの集団も一気に全滅させられる極太のレーザーを一発撃ち込めるようになっている。あとは、分かるな?せめて相手を苦しめずあの世に送ってやってくれ」
「はい!」
ザグラブ七神将はとても満足げであった。
今後の悲劇を予想だにしていなかった故である。




