スノーホワイトとの戦闘
スノーホワイトは、全くシンデレラに乗ったミューユの付けいる隙がなかった。
なにしろ敵は脳波コントロール機である。シンデレラが手持ちライフルで撃った弾を、ありえない軌道で避けていく。
「ミューユ、シンデレラの『ハイパーモード』を使え!」
ナカジマ大尉の言葉に、シンデレラのコクピットのミューユはボタンを押した。
たちまちシンデレラからはいくつもの放熱フィンが展開し、真っ赤に熱されてゆく。
この時間、三分間だけは、シンデレラは通常の1.5倍の出力を示す。
「ここで一気にカタをつけねば!」
シンデレラはひたすらライフルを放つが、スノーホワイトにはかすりもしない。
シンデレラはライフルを投げ捨てると、ヒートソードを抜いて一気にスノーホワイトと距離を詰める。スノーホワイトもヒートソードを抜いてシンデレラの斬撃を受ける。
「ギュイイイイイン!」
けたたましい音と共に二つのヒートソードからは激しい火花が散る。
シンデレラの狙いすました一撃も、スノーホワイトは軽くいなす。
ヒートソードがいくたびも火花を散らし、切り結ぶ二機のアサルトアーマー。
しかし、ミューユの乗ったシンデレラにも限界が来た。ハイパーモードの制限時間が来たのだ。真っ赤に熱せられた放熱フィンがどんどん黒ずんでいくと共に、シンデレラはスノーホワイトの勢いに押されつつあった。真正面からの鍔迫り合いでも、シンデレラはスノーホワイトにジリジリと押されていた。
「やられる!」
ミューユがそう思った時、スノーホワイトに異変が生じた。
今までキビキビと動いていたスノーホワイトが、急に動きを止めた。
そして、スノーホワイトのハッチは音も無く開いた。
中に居たパイロットは、虚空を見つめ、ただ高笑いをしている。
「スノーホワイトに、魂を吸われたか…‥」
ミューユは自分が初めてスノーホワイトに乗った時のことを思い出していた。あの時、自分がスノーホワイトにそのまま乗って平気であったことに皆が感心していたのは、ただ初心者を歓迎したのではなかったのだ。
スノーホワイトは、脳波で機体をコントロールできるのが利点であるが、その代わりパイロットの脳に激しい負担をかける。ミューユもそれを知ってから、脳波コントロールの機能は、訓練していくうちに少しづつ稼働時間を上げていったのだ。何の訓練もしてない人間がそのまま乗り続ければ、ほんの数分の間でも脳に情報が逆流し、脳にダメージを与える。最悪廃人となるのだ。
「愚かな……」
すっかり発狂してしまったパイロットを捕まえるのに、大した手間は取らなかった。




